NTTコミュニケーションズ（7月1日付でNTTドコモビジネスに改称）は6月25日、IoTセキュリティーの国際標準規格「IoT SAFE」の実証に成功したと発表した。セキュリティー情報をIoT機器に個別にインストールするのではなく、SIM内でこれらを自動生成する仕組みを構築することで、IoT機器を起動すると自動でセキュリティー設定ができるようになる。デバイスメーカーなどとの協業を進め、2025年度中のサービス提供を目指す。

　IoT SAFEは、通信事業者の業界団体であるGSMA（GSM Association）が策定したIoT機器向けのセキュリティー標準規格。今回同社は、「鍵情報」やその正当性を証明する「クライアント証明書」をIoT機器にインストールするのではなく、SIM内でこれらを自動生成する仕組みを構築した。鍵情報の生成と証明書の発行までをSIM内のアプレット領域で実施。セキュリティー設定をゼロタッチで自動化する。

　セキュリティー対応をSIM内で実行できるようにすることで、IoT機器本体にセキュリティー向けの部品が不要になり、コスト削減や故障率の低下などが期待できる。

　今回の実証では、IoT SAFEを活用し、AIカメラが撮影・処理した映像をクラウドに伝送した。AIカメラのSIM内に鍵情報と証明書が自動でセットアップされ、AIカメラとクラウド間のセキュアな通信を行えることが確認できたという。
 
　プラットフォームサービス本部5G＆IoTサービス部の柏大・IoTサービス部門長は、IoT機器の電源をオンにするだけでセキュアに初期設定が行えるため、製造業など大量のIoT機器を利用する現場でより自動化の効果が高まると解説。「セットアップやメンテナンスを自動化することで工数は60％削減できる」とアピールした。同社は実証した技術を活用したデバイスを開発するパートナー企業を募集しており、パートナーと協力して、実用的なサービスへと落とし込みたい考えだ。
（堀 茜）