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NJC、京都産業大学と小・中学校図書館向け遠隔レファレンスの共同研究を開始
2025/09/03 16:14
この共同研究では、2021年から進めてきた学校図書館支援の取り組みをさらに大きく展開し、AIを活用した「AI学校司書」の実現を目指す。学校司書が不在の場合でも、児童生徒の主体的な学びを深めるための資料提供を可能にし、教員の教材研究や授業実践を強力にサポートすることで、地域間の教育格差解消と学校図書館の機能拡充を図る。
学校図書館は、読書を中心とした活動となる傾向にあり、児童生徒の主体的・能動的な学習および教員の教材研究や授業実践を支援する機能が十分に活用されていない現状がある。また、司書教諭や学校司書の配置状況は地域や学校によって異なり、資料の選定や活用の地域間の格差も課題となっている。
京都産業大学は、こうした課題を改善するため、各学校図書館が備える資料が教材として教科学習のなかで誰に、どのように活用されたのか、その実態を蓄積し、データベース化したものを学校間で共有することにより、司書が教科学習での資料の選択にあたって参照できる基準(スタンダード)の構築につなげようとする研究を進めていた。
今回のNJCとの共同研究では、小・中学校の教員や学校司書が資料を選択する際、他の教員がどのように活用したかの追跡、確認をリアルタイムで可能にし、自身の活用方法についてもコミュニティー内での共有を可能にする「遠隔レファレンス」アプリケーションを開発し、そのアプリをタブレットやスマートフォンに実装して、実証試験を行う。これらの情報の共有を通じて、地域での教育の機会均などの実現に貢献することを目指す。
現在、千葉県千葉市と和歌山県日高川町で、記録アプリとしてBOOK MARRY(ブックマリー)を活用した実証研究を進めている。児童生徒や教員が、主に教科学習に使用した学校図書館の資料について、BOOK MARRYへレビューを記録している。
また、学校司書が不在でも、児童生徒や教員の問いに対して適切な「資料」を提供できる仕組みをAIで実現する。この「AI学校司書」を構築するために、「千葉市、日高川町でBOOK MARRYに投稿されているレビューデータ」「学校指導要領・教科書データ」「各教員が作成した教材データ」「出版・流通している書籍データ」「著作権処理済の画像データ」など、多様なデータをAIに読み込ませている。
これらのデータをAIが学習することで、従来までの情報検索とは異なり、教員が実際に授業で使用した教材データなどと学習指導要領や教科書の内容、さらには外部データを取り込むことを通じて、より実践的で深度のある資料提供が可能となる見込み。
共同研究期間は、25年度から27年度までの3年間を予定。期間内に地域限定、科目限定での「教育現場の集合知+AI」による遠隔レファレンスの実現を図る。NJCは28年度以降、同研究の成果をもとに、初等・中等教育分野での学習支援、読書支援ソリューションの開発・展開を本格的に行っていく考え。30年には現在主力の高等教育分野での売上規模を上回る伸長を目指し、教育現場への貢献をさらに強化していく。
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