米Concur Technologies(コンカーテクノロジーズ)日本法人は8月28日、事業戦略発表会を開いた。AIエージェントやAIチャットボットを活用し、人手を介さない経費精算業務の実現を目指す方針を示した。これに合わせて、出張・経費・請求書管理を統合したサービス「SAP Concur」の新機能も発表した。
橋本祥生 社長
橋本祥生社長は「近い将来、経費精算という業務は世の中からなくなる」との見解を示した。実現に向けて、同社はSAP Concurに独SAP(エスエーピー)のAIコパイロット「Joule(ジュール)」やAIエージェントを導入し、自動化と自律化を進める。将来的には手入力を不要とし、ユーザーが内容を確認するだけで出張や経費、請求書の申請・承認、加えて導入・運用までを完結できる仕組みを目指す。
25年末以降にリリース予定の新機能「Booking Agent」では、自然言語によるチャットで日付や行き先などをJouleに伝えるだけで、個人の好みや会社の規定に合わせた最適なフライトを提案し、ユーザーは提案された中から選ぶだけで出張手配が完了する。さらに、経費申請前にAIが抜け漏れを自動検出し、差し戻しを減らす機能なども提供する予定だ。
事業成長戦略としては、(1)カスタマーサクセス(2)公共向けビジネス(3)政策提言活動─の三つを挙げた。
(1)では、サービス稼働後も間接費業務の改革を通じて企業風土改革を支援する。経費精算廃止のノウハウをまとめた成熟度マップを活用し、ユーザーの課題解決を後押しする。(2)では、公共団体のデジタル化を進め、旅費業務の削減を図る。10自治体での実証実験では、業務を50%以上削減する効果があったという。(3)では、インボイス制度に関する政策提言活動を積極的に展開。6月にはビズリーチ、マネーフォワード、ラクスとともに任意団体「経費MIRAI協議会」を設立した。
同社は今後もビジョンに基づき、日本企業の競争力強化や企業風土改革、人材の変革に貢献する事業を展開していく方針だ。
(南雲亮平)