米Zscaler(ゼットスケーラー)日本法人は9月18日に事業説明会を開催し、AIによる業務改革がもたらす新たなセキュリティーリスクに対応するため、ゼロトラスト構成の拡張やパートナーとの連携強化を進める方針を示した。
米Zscaler
アダム・ゲラー・最高製品責任者
米国本社から来日したアダム・ゲラー・最高製品責任者は、肉体労働の機械化が進んだ「産業革命」に続き、知的労働が自動化される「AI革命」が到来していると強調。特に、自律的に行動するエージェント型AIは、金融や医療など社会の基盤的産業での活躍を期待される一方で、侵害された場合のリスクが計り知れないと指摘する。
新たな脅威への対策として、同社は三つの重要分野を挙げる。第一が、サービスの常時稼働。システムの正常性を可視化する「Health360」、AIによるテストと自動化、さまざまな障害シナリオへの対応などを用意している。また、日本の3拠点を含めて160以上のデータセンターを設置しており、2026年度の第一四半期には新たに6拠点設置する。
第二は、顧客成果へのこだわり。パートナーと連携し、コンサルティング型の支援や導入サポートを通じて、顧客の成果に貢献する体制を強化している。日本市場では、過去4年間でパートナー数が2倍に増加し、顧客数は700社を突破。日本市場におけるセールスはパートナーとの連携が特に重要であるとし、パートナーエコシステムの拡充を進めて行く方針だ。
第三は、イノベーションの拡充。デバイスやAIエージェントを含むあらゆる対象にゼロトラストを適用し、クラウド、SaaS、エンドポイントなど、データが存在するすべての場所のセキュリティー確保の実現を目指す。また、自律型の運用を行うことで、脅威への対応を迅速化する。
26年度に向けた施策としては、拠点(ブランチ)のSD-WANやファイアウォールなどを集約し、ネットワークとセキュリティーの運用を簡素化する「Zero Trust Branch」の提供を挙げる。セキュリティー導入を迅速化する「Zero Trust Gateway」を「Google Cloud」向けに用意するほか、LLM(大規模言語モデル)を活用したデータ分類機能なども備えていくとした。(南雲亮平)