リコージャパンは脱炭素を柱としたGX(グリーン・トランスフォーメーション)事業の今年度(26年3月期)営業利益が23年3月期比で3.8倍に増える見通しを示した。同社は中堅・中小企業向け脱炭素支援サービスに力を入れており、二酸化炭素(CO2)排出量の可視化や、省エネの実施、再生可能エネルギー導入などを顧客企業に伴走しながら支援。環境意識の高まりや脱炭素を経営課題に位置づける企業が増えていることから「案件数は倍々で増えている」(花井厚・執行役員パブリックサービス本部本部長)と手応えを感じている。
花井厚・執行役員
同社は、CO2排出量の可視化や脱炭素ロードマップの作成、センサーを使った空調の最適化やエネルギー管理システム(EMS)導入などによる省エネ、さらに太陽光発電設備や蓄電池の導入といった再生可能エネルギーによる“創エネ”など、各ステップごとに伴走支援している。
例えば、直近でCO2排出量の可視化を支援している事業所は全国で約2500件、脱炭素ロードマップの作成支援では約1300件、設備導入のステップでは約1800件に達している。この中には設備導入を行いつつ、並行して新しい技術を活用した脱炭素ロードマップを再策定するなど「各ステップの重複や反復を繰り返しながら脱炭素を進めている」(田保勝久・執行役員パブリックサービス本部副本部長)という。
田保勝久・執行役員
CO2排出量の可視化では、アスエネやe-dash、ゼロボードといったベンダーが開発するCO2排出量の可視化ツールを活用。アスエネはリコーグループと資本業務提携の関係にある。また、センサーを使った空調の最適化では、リコーが開発した室内光で発電する電池不要の小型環境センサーを従業員の服に取り付け、人がいない場所を冷や過ぎていないかや、室内のどのあたりの温度が高いかを測定し、空調制御の最適化を行う。
リコージャパンでは全国18カ所の事業所で脱炭素実践事業所(ZEB)の認定を取得し、自社拠点を脱炭素支援サービスのショールームとして活用している。うち3カ所は省エネの実施と太陽光発電による創エネで年間エネルギー消費量のプラスマイナス0を実現。7カ所は省エネと創エネで年間エネルギー消費量の75%を削減、8カ所は省エネで同50%を削減している。
同社では老朽化した社屋の移転、建て替え時に経済合理性を考慮しながらZEB認定の事業所を随時増やしていくとともに、脱炭素支援サービスを軸としたGX事業を既存の複合機やオフィス向けデジタルサービスと並ぶ成長の柱に育てていく方針を示している。(安藤章司)