米Pure Storage(ピュア・ストレージ)日本法人は10月2日、年次イベント「Pure//Accelerate 2025 Tokyo」を開催した。基調講演に登壇した五十嵐光喜社長は、「AI」「サイバーセキュリティー」「データ主権」の三つを軸にサービスを展開していく方針を示し、AI活用支援とサイバー・レジリエンスを強化する新たなソリューションを発表した。
五十嵐光喜 社長
AI領域では、オンプレミスとクラウドの境界を越えてワークフローを効率化する「エンタープライズ・データ・クラウド(EDC)」構想を拡充。新たに「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」上でエンタープライズ級のブロックストレージを提供する「Pure Storage Cloud」や、推論時の負荷をGPU間で分散する「NVIDIA Dynamo」との統合でAIの推論を高速化する「Key-Value アクセラレータ」などを発表した。
サイバー・レジリエンスの強化策としては、米CrowdStrike(クラウドストライク)や米Veeam(ヴィーム)といったパートナーとの連携を深め、脅威のプロアクティブな検知、攻撃からの防御、迅速なリカバリーの実現、統合された防御体制を提供する。ストレージを単なるデータの保管場所ではなく、能動的なセキュリティー基盤と位置付ける戦略だ。
データ主権について、五十嵐社長は「単なるコンプライアンス上の課題から、競争力や顧客の信頼に影響する重大なビジネスリスクへと変容した」と指摘。地政学的な不確実性の高まりや各国の規制強化などを背景に、データの所在場所を意識する企業が増えている現状を説明した。その上で、同社のEDCには、重要かつ秘匿性を要するサービスとデータのワークロードをソブリン環境に移行し、重要度の低いものはクラウドを利用するというハイブリッドな対策があることを強調した。
(南雲亮平)