日立システムズは、主力ERPの「FutureStage販売・生産管理」のクラウド版「FutureStageクラウド」のサービスを11月から開始したのに伴い、販売や開発を担うパートナープログラムを本格始動させた。FutureStageクラウド専用の開発キットを使ったローコード開発などを担う開発パートナーと主に販売を担うパートナーを、向こう5年で約100社募る計画。パートナープログラムを設けて大規模な間接販売チャネルを構築するのは、FutureStageシリーズでは今回が初めて。
FutureStageクラウドは、50ユーザーまでの「Lite版」と、ローコード開発によるカスタマイズが可能な「Standard版」の2種類がある。前者はパッケージの標準機能による運用を前提としており、販売パートナーによる拡販をより多く見込む。後者はカスタマイズを伴うことが想定されるため、主に開発パートナーに販売を担ってもらう。両方式ともにシステムのコア部分のカスタマイズは行わず、検証期間を経て定期アップデートを実施できる仕組みを取り入れている。
豊田賢一部長(左)と黒澤苑子セールスマネージャー
開発パートナーは日立システムズが提供する「公認開発技術者」「公認SIer」「公認インストラクター」の三つの講習会を受講し、認定を得た人員をそれぞれ2人以上そろえる必要がある。開発キットを使ったローコード開発の技能を身に付けてもらうとともに、「SI品質に対する考え方や、SIプロジェクトの管理手法など、日立システムズが培ってきたノウハウを提供する」(豊田賢一・産業・流通営業統括本部第一営業本部第四営業部部長)ことを目的としている。
開発パートナーが独自に開発したアドオンや業務テンプレートの版権はパートナーに帰属しており、他のユーザー企業に横展開できる。保守運用を請け負うマネージドサービスや、開発パートナーが提供する他のサービスと組み合わせて、「より付加価値の高い、パートナー独自のサービスに仕上げてもらう」(黒澤苑子・第一営業本部第四営業部セールスマネージャー)ことも可能だ。
一方、販売パートナーは「公認インストラクター」を2人以上そろえるだけでよく、ユーザー企業先への実装や稼働後のサポートは、販売パートナーを契約窓口として日立システムズが行う。営業面では提案支援や販促資料の提供、共同セミナーなどを日立システムズが開発・販売パートナー向けに提供する。
FutureStage販売・生産管理は1987年の発売以来、製造業や流通卸業のユーザーを中心に約4500システムを販売してきた実績がある。新サービスのFutureStageクラウドは、応研の「大臣エンタープライズ」の開発フレームワークを採用しSaaS方式として新たに開発した。間接販売チャネルの拡充によってFutureStageクラウド関連の売上高は2030年度に累計100億円を目指す。
(安藤章司)