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日立システムズ、森林由来のJ-クレジット創出・販売の支援を開始
2025/09/02 11:48
国土の7割を森林が占める日本には、自然活用によるカーボンクレジット創出の潜在能力があるとされているが、多くの森林が未整備のまま放置されており、活用が進んでいない状況。一方で、日本は2050年カーボンニュートラルの実現を掲げており、達成のためには温室効果ガスの排出・削減量を企業間で売買を可能にする仕組みである「カーボンクレジット」の活用が不可欠といわれている。適切な森林管理により増加したCO2の吸収量などは「カーボンクレジット」として扱うことが可能。日本では国が認証するJ-クレジット制度を運用しており、認証量は年々増加している。
自治体、森林組合などの林業事業者、森林を所有する企業がJ-クレジット制度を活用した継続的な森林保全を図るためには、プロジェクト登録やモニタリング報告、認証の取得を経てJ-クレジットを創出、その後販売するというステップを踏む必要がある。しかし、販売までのスキームを構築するための費用や申請のための工数が課題となっており、専門性の高い支援が求められている。
日立システムズは、これまで森林の解析調査サービス(森林調査DXサービス)を提供し、調査時間と人的コストの削減を実現しながら、顧客の要望に応じた詳細な森林情報の収集・解析を自治体や森林組合とともに行ってきた。この経験から得た林業現場の豊富な知見とグリーントランスフォーメーション(GX)の分野での高い専門性に基づき、今回、カーボンクレジット創出・販売の支援を開始する。
同社が林業事業者との実証実験で得た豊富なノウハウを活用してJ-クレジットの販売までをトータルでサポートする。具体的には、航空レーザー測量データを活用した素早いモニタリング分析、ドローンによる計測データを使用したカーボンクレジット量の算出、J-クレジット申請の代行、販売まで一連のスキームに対応可能となっている。
創出されたJ-クレジットについては、販売した利益を自治体や森林組合などの林業事業者と日立システムズで分配する方式を採用している。この場合、初期費用(審査・検証、コンサルティング費用)は不要。これによって、初期費用がネックでプロジェクト開始に踏み出せない人でも初期からJ-クレジット創出の支援を受けることができる。
日立システムズは、これまで全国の地方金融機関とともに地域課題を解決してきた。そのなかで培ってきたそれぞれの地域のナレッジを活用し、自治体や森林組合などの林業事業者が独自で販売先を確保することが難しい場合でも、地方金融機関とともに地産地消を基本とした地域の企業・団体へのJ-クレジット売却や移転処理などを支援する。また、J-クレジットを創出した事業者と日立システムズが連携し、J-クレジットを購入したい企業に向けて直接販売するスキームを構築することも提供可能としている。
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