ソフトバンクの100%子会社のGen-AXは11月10日、コンタクトセンター向けのAIオペレーター「X-Ghost(クロスゴースト)」の正式提供を開始した。問い合わせに対して自律的に対応する。音声処理のAIモデルに米OpenAI(オープンエーアイ)の「gpt-realtime」を採用し、AI音声を人間に近づけた。ソフトバンクが販売パートナーとなり、まずは数百席から1000席以上の席数を有するエンタープライズのコールセンターを中心に展開する。
従来のボイスボットは音声をテキスト化し、さらに音声を合成しているため、認識を誤ったり情報が欠落したりする課題があった。クロスゴーストでは音声処理を一体化するマルチモーダルLLM「Speech-to-Speech」としてgpt-realtimeを活用。遅延を減らすほか、イントネーションや感情を文脈として理解し、自然な応答につなげる。問い合わせによっては社内の顧客情報を呼び出し、回答に活用する。
導入に向けてはコンサルティングパートナーとの伴走プログラムを整備した。業界ごとのワークフローなどをテンプレートにしたツール群「X-Ghost Builder」を用いて実装を短期化する。具体的には、10月にソフトバンクと資本・業務提携を結んだJDSCや、シグマクシス、日鉄ソリューションズを挙げ、エコシステムを順次拡大するとした。
砂金信一郎 社長CEO
同社はコールセンターやバックオフィス向けに照会応答業務を支援する生成AIサービス「X-Boost(クロスブースト)」もリリースしている。砂金信一郎・社長CEOは「ソフトバンクグループなので、『クリスタル・インテリジェンス』が目指す世界に合わせて、コールセンター領域でできることを順次開発していく」と強調した。
(春菜孝明)