富士通Japanは11月19日、医療機関でのAI活用とDXの取り組みについて説明会を開いた。従来事業の中心だった電子カルテにとどまらず、AIエージェントやセキュリティー支援、患者向けサービスといった病院全体のDXへ展開を強化するとして、2030年に2500~3000億円の売り上げを目指すと表明した。
AI活用に関しては、経営支援や働き方改革などを重点領域に据える。医療機関の経営改善の取り組みとして、経営層と現場をつなぐ「HealthCare Management Platform」を整備。AIで入院患者の最適な在院目安を予測するなどして、収益増につながる病床稼働率向上のための支援機能を提供する。
医療従事者の働き方改革を促進するために、AIを用いた医療文章作成支援サービスも提供。患者のデータを自動で収集し、入院患者の退院に必要な退院サマリーなどの下書きを生成できる。国立病院機構名古屋医療センターへの試験導入では、退院サマリーの作成時間が患者一人あたりで7割以上効率化でき、試算では年間約5000万円のコスト削減効果があったという。
桑原裕哉 本部長
同社の桑原裕哉・ヘルスケア事業本部長は、「医療機関ではせっかく蓄えたデータの利活用は限定的だ。テクノロジーを取り入れ、安全かつ有効に利用して新しい価値を生み出したい」と意気込んだ。
富士通と日本IBMのヘルスケア領域を含む協業検討についても言及。「地域の全てに富士通ユーザーの電子カルテが入っているわけではない。データを活用して地域の医療をどう持続させるかを一緒に議論している。われわれの電子カルテデータの上にIBMのAIを載せることや、その逆の場合も含めて、病院や患者のメリットになるのであれば可能性を協議していきたい」とした。
(下澤 悠)