デジタル庁は、2026年5月から中央省庁の職員など約10万人が生成AIを業務で活用する大規模な実証事業を始めるのに先立ち、「ガバメントAIフォーラム」を3月2日に開催した。デジタル庁の楠正憲・統括官がモデレーターを務めるパネルディスカッションが行われ、「(AI大国の)米中に挟まれている国として、どうあるべきか」とのテーマで議論が進んだ。
(左から)デジタル庁の楠正憲統括官、中央大学の実積寿也教授、
シナモンの平野未来社長、AIセーフティ・インスティテュートの村上明子所長、
東京都の宮坂学副知事
(提供:デジタル庁)
パネリストとして参加した政府機関、AIセーフティ・インスティテュートの村上明子所長は、「(米中以外の各国では)“業界特化”か“規制”かで議論が分かれる傾向がある」とした上で、日本は「AI×産業の掛け合わせに進んでいる」と分析。AIスタートアップのシナモンの平野未来社長は、「世界で何十兆円規模のAI開発資金が飛び交うなか、AI活用の戦略を年1回のペースで見直していては追いつけない。四半期ごとにAI戦略を見直す必要があるのではないか」と問題提起した。
中央大学の実積寿也・総合政策学部教授も「AIの普及速度はクラウドの普及よりさらに速くなっている」と指摘。半導体や電力などの計算資源の確保からアルゴリズムやAIモデルの開発、人材育成に至るまで一気通貫でできる国は米中以外ほぼない現状を踏まえ、「(日本として)どこかに勝ち筋を見つけていくことが問われている」と話した。
東京都の宮坂学・副知事は、「AIを使うことによって得られるリターンが、リスクを大きく上回ることを明示することが重要」だとし、情報漏えいなどのセキュリティーリスクがあったとしても、それを上回るメリットを明確化することがAI活用の裾野を広げ、結果として国や経済の国際競争力を高めることにつながるとした。
(安藤章司)