富士ソフトは、米投資会社Kohlberg Kravis Roberts(コールバーグ・クラビス・ロバーツ、KKR)傘下に入って初の報道向け経営説明会を4月27日に開催し、SIプロジェクトの上流工程へのシフトを一段と進める方針を示した。大幅な組織改編を行うとともに、本年度(2026年12月期)の新卒採用を例年の半分の約400人に抑制。専門性が高い人材育成に力を注ぐ。室岡光浩社長は「強みである大規模システム開発におけるSE動員力に加え、知財を基にしたオファリング型のビジネスモデルの拡充を推進していく」と話す。
室岡光浩 社長
組織改編では、昨年度まで九つあった事業本部を再編して、▽組込/制御ビジネスユニット(BU)▽ソリューションBU▽社会インフラBU―の三つのBUに集約した。各BUの事業規模はおおむね1000億円規模で、昨年度の連結売上高3340億円を三等分したイメージになるという。並行して、全社戦略や財務、アカウント戦略、マーケティング、人材、法務、技術などを担当する役員が、三つのBUとグループ会社を横断的に支援・けん制することで、「既存事業を高度化し、量から質への転換を促していく」(大迫館行専務)としている。
大迫館行 専務
新体制ではITとOT(機械制御、組み込みソフト開発)の両方に強みを持つことや、基幹業務システムや社会インフラ領域を支えてきた実績、ユーザー企業に伴走して設計から実装、運用まで責任を持つ富士ソフトを長所を伸ばす。三つのBUとグループ会社は売り上げや利益といった業績に対する責任を負う一方で、担当役員による横断的な支援・けん制により、例えばAIの活用促進や、OTとの融合によるフィジカルAI領域ビジネスでの競争優位性の発揮、知財をオファリング化して再現性の高いビジネスの拡充などを促していく。
富士ソフトは開発人員の動員力を強みとしてきたSIerだが、既存事業の高度化や顧客の経営層と二人三脚で課題を解決する提案力、マーケティング力を生かしたオファリングの開発能力を高めるため「より特化した技術を持つ人材を育てていく必要がある」(室岡社長)ことから、本年度は新卒採用の人数を従来の半分の約400人に抑制した。
過去10年を振り返ると新卒800人と中途採用を合わせて1000人余りを毎年採用しており、前職でNECのCorporate SVPを務めていた室岡社長は「新卒800人はNECと同規模」だとし、企業規模に比べて多いとの認識を示した。新卒は2年間の研修や実地訓練を通じて一人前のSEや営業に育つプログラムを組んでいたが、今後は新卒採用を絞りつつ「より高度で専門的な人材育成に取り組む」(室岡社長)。
上流工程へのシフトやオファリングの充実、組織改編の効果を通じて、28年度の営業利益は、25年度の2倍に相当する500億円を目標に据える。売上高は国内IT市場の成長率を上回る水準を維持することで、4000億円超を視野に入れている。
(安藤章司)