ラクスは7月23日、メディア向けにバイブコーディング体験会を開催した。請求書発行ツールの作成体験を通じ、バイブコーディングの利便性と実運用上の課題について紹介した。AI時代におけるSaaSの価値についても見解を示した。
バイブコーディングとは、AIに「こんなアプリケーションや機能をつくりたい」と要望を伝え、対話を重ねながら進める開発手法を指す。体験会では記者が「Google AI Studio」を活用し、プロンプトを入力して食品卸会社向けの請求書発行アプリを作成した。
「Google AI Studio」にプロンプトを入力し、
アプリを作成中の画面
数分で出来上がったアプリには、請求書の作成や、商品マスター・取引先マスターの管理画面などがそろっており、一見して請求書発行アプリとしての機能は一通り実装できているように見えた。
作成した請求書発行アプリ
その後、体裁や機能に関する追加の指示をAIに与え、アプリのブラッシュアップを図った。例えば、請求書発行前に上長が承認パスワードを入力するといった承認フローの追加を指示したが、うまく機能の改良につながらなかった。同社からは、パスワード入力ボックスの下にパスワードが表示されてしまうといった具体的な失敗例が挙げられた。
バイブコーディングにより、プログラミングの知識がなくともアプリを簡単に作成することができるが、誰が仕様を理解し、誰が保守するのかといった課題が発生する。李春幸・マルチプロダクト企画部長は「AIでアプリをつくることと、実際に業務で、個社ごとのルールに沿って正しく運用に耐える状態で使い続けることの間には、大きな壁がある」と分析した。
李春幸・マルチプロダクト企画部長
李部長は、AIでのバイブコーディングは、アンケートの簡易集計や社内イベント用のツールなど、失敗してもやり直しやすく、社外や法務、会計などへの影響が限定的な領域には向いているとの見解を示した。しかし、請求書発行や経費精算、販売管理など、社外連携を行う場合や法的責任・継続性が伴う場合には、正しく計算を行い、正しくデータを残し、法改正などの変化にも対応できる専門的なSaaSを活用すべきだと指摘した。
李部長は「AIについてはポジティブに捉えている。われわれは、バックオフィスのドメイン知識を基に業務要件を理解した上で、『楽楽クラウド』の各商材にAIを安全に組み込み、しっかりAI活用していく」と説明した。(大向琴音)