イーセットジャパンは8月27日、中小企業におけるサイバーセキュリティーの調査レポート「SMBサイバーセキュリティレディネス指標(2026年日本版)」を公表した。過去1年間でインシデントを経験した日本企業は47%に達し、世界平均(45%)を上回った。侵害要因はシステムの監視不足(29%)や不適切なアカウント管理(25%)などが上位で、永野智社長は「対策の基本的な部分が入り口になっている」と危機感をあらわにした。
調査は従業員1000人以下の13カ国4400社、うち国内500社に実施した。
中小企業のセキュリティー調査結果を示す永野智社長
日本企業が懸念しているサイバー脅威は、最多のランサムウェアおよびマルウェア(49%)に続き、AIを悪用したマルウェア(29%)が入った。永野社長は、AIによる攻撃効率化は考えられるが、「生成AIそのものが侵害の主要因となっている事例は確認されていない。AIが攻撃の本質ではなく、従来の手法と大きく変わっていない」とし、基本的な対策であるフィッシング防止や適切なアクセス管理、脆弱性管理、セキュリティー教育、監視体制の整備がAI時代でも重要だと訴えた。
セキュリティー対策が充足しているか把握できていない実態も浮き彫りになった。サイバー攻撃に対するレジリエンス(対応・適応力)の「自信」を問うと、「非常に自信がある」と答えたのは5%で、13カ国のうち最低、「どちらともいえない」は42%だった。永野社長は、企業が慎重に評価する背景として「本当に守れているか、客観的に確認できていない場合も少なくない」と分析。セキュリティー課題の上位に人材・スキル不足(36%)、製品の複雑さ・統合の課題(20%)が挙がっていることも踏まえ、必要な対策はセキュリティー製品を増やすことではなく、ソリューションの複雑性を軽減し、専門家の知見を得ながら運用することだと強調した。
AI活用についても聞いた。35%の企業が利用ポリシーを整備しておらず、「新たなリスクの原因になる可能性がある」(永野社長)と指摘した。セキュリティーへのAI活用では、攻撃特定と対処高速化(52%)や、脅威の事前予測(50%)に期待が集まった。
(春菜孝明)