フリーは、AIの進化に対応したプロダクトセキュリティーの強化を進めている。独自のAIツールを活用した防御体制の構築を進め、開発スピードを維持しながらセキュリティー水準の向上に取り組んでいる。
多田 正 執行役員
同社が8月7日に開いたメディア向け勉強会で、多田正・執行役員は、AIによる脆弱性発見や攻撃の自動化が進み、サイバー攻撃の量と質の双方が変化していると指摘した。一方で、「攻撃側より防御側が有利になる可能性がある時代がきている」との認識も示した。攻撃者が外部から取得できる情報に限られるのに対し、防御側はソースコードや設計書、インフラ構成など組織内の豊富な情報をAIに分析させることができるためだという。
同社では、設計段階でセキュリティー上の懸念点を指摘するAIレビュー機能や、リリース前の脆弱性診断を自動化する仕組みを開発・運用している。設計書やソースコード、社内ルールなどの情報を活用してリスクを洗い出すほか、開発者自身が必要なタイミングで脆弱性診断を実施できる環境を整えている。
背景には、生成AIによる開発生産性の向上がある。開発速度が上がるほど診断対象も増え、セキュリティー部門の対応が追いつかなくなる恐れがある。そこで、内製AIツールの活用に加え、AI利用時のログ管理や機微情報の保護といったガードレールの整備、組織体制の見直しも進めている。
また、AIを活用した脆弱性診断の拡大に伴うコスト増への対応も進めている。多田執行役員は「プロダクトセキュリティーを守る仕事を持続的に行うには、いかに安くて軽いモデルで実現するかが重要になる」と述べ、高性能なAIモデルに依存せず、独自のベンチマークで品質を検証しながら、より低コストなモデルを活用できる環境を整えているとした。
(山本浩資)