VAIOは9月10日、東京都内で記者会見を開催し、新たなノートPCの「VAIO T work」(法人向け)、「VAIO T」(個人向け)を発表した。画面の向きを変えて3形態に変形できる「マルチフリップ機構」を特徴とする。親会社であるノジマの発案を契機に、販売現場に寄せられた顧客の声や利用実態を踏まえて開発された。新製品は「従来の高い信頼性に加え、新しい体験価値を提供する」(取締役執行役員開発本部の林薫・本部長)シリーズ「VAIO Next」の第1弾となる。VAIOは既存の「VAIO」、法人向けの「VAIO Pro」と並行してNextシリーズを展開し、独創性のある製品を通じて「驚き」や「わくわく」を提案したい考えだ。
(南雲亮平)
(左から)ノジマの益田巧・情報ソリューショングループ長、
VAIOの林薫・取締役、渡辺玄・シニアプロダクトマネージャー
VAIO T workの販路はWeb直販のみで、現時点では間接販売の予定はない。個人向けはWeb直販とノジマの店頭で展開する。Webでの受注は9月18日に開始し、最短で同30日の到着となる。ノジマでは同22日に発売する。
発表された「VAIO T」シリーズ
マルチフリップ機構は、キーボード入力を行う「ノートPCモード」、タッチ操作に重きを置いた「タブレットモード」、対面の相手に画面を向ける「ビューモード」の三つのスタイルを1台で実現する。作業や思考の流れを妨げないよう、スムーズな形態変化ができるよう設計した。
ディスプレイには13.3型ワイド・2560×1600ピクセルのタッチパネルを採用。CPUは米Intel(インテル)の「Core Ultraシリーズ3」プロセッサー、ストレージはPCIe 5.0対応のNVMe SSD(暗号化機能付き)を備える。メモリーは最大64GB(法人向けは32GB)を搭載する。AIノイズキャンセリング機能を備えるほか、PC内蔵カメラで血管情報や心拍情報を推定できるアプリケーション「VAIOウェルネスケア」をダウンロードして利用できる。
開発の背景には、ノジマとの共創体制がある。2014年にソニーから独立して12年間、VAIOは法人市場へと軸足を移してきた。25年度時点で、BtoB領域の販売台数は10年前と比べて約7倍に増加し、売上構成比も約35%から約85%へ拡大した。一方で「信頼される存在にはなったが、驚きを期待される存在ではなくなっていた」(林取締役)という課題も見えていた。
転機となったのが、24年のノジマグループ入りだ。挑戦を重視する同グループの企業風土を追い風に、PCによる新たな体験価値の創出に取り組んだ。ノジマM&Cソリューション推進部の益田巧・情報ソリューショングループ長は、「タッチパネルは法人の現場から要望が多かったため採用した」と説明。今後も個人向け、法人向けという枠にとらわれず、顧客の声を反映した製品開発を進める考えを示した。