週刊BCNは9月18日、東海エリアでIT製品・サービスの販売に携わる企業を対象にしたセミナーイベント「週刊BCN 全国キャラバン2026 in 名古屋」を名古屋市内で開催した。AIの普及と進化でITベンダーのビジネスはどう変わるべきかについて識者が講演したほか、ITソリューションを提供する5社がパートナーを求めて地場のIT企業に向けて自社の商材をアピールした。
東海エリアのIT企業が参加した
週刊BCN全国キャラバン
「AI時ソリューション提案のあり方」と題する基調講演に登壇したINDUSTRIAL-Xの八子知礼・代表取締役CEOは、「AI活用はDXの延長線上にある」と話し、AIを有効に使うための前提として、業務プロセスのデジタル化とデータ整備が必要と訴えた。
INDUSTRIAL-X
八子知礼
代表取締役CEO
AIが個別の業務効率化に用いられるのみならず、AIエージェントの実用化により業務プロセスそのものの遂行を行うようになりつつある。このため、ITベンダーのAI提案も、単純な機能提供だけでなく、AIが正しいデータを参照できるようにするための環境整備や、エージェントの運用・保守、ガードレールを含むセキュリティー、監査への対応などにシフトする必要がある。また、八子CEOは「AI実装は静的なデータから始めるのが良い」とアドバイス。動的なデータの活用はデータ基盤の整備やデータの更新の難度が高いため、まずはユーザー企業の手元にあるフォーマット化されたデータで素早く実効性の検証などを行うことを勧めた。
続く協賛企業によるセッションでは、まずアイキューブドシステムズ CLOMO事業本部営業部営業2課の梁信紀・アカウントエグゼクティブが、「Windows PC『社外持ち出し』に潜むガバナンスの限界 ― 既存の資産管理ツールでは防げない情報漏洩の実態と対策」と題し、持ち出しPCの紛失・盗難による物理的な情報漏えいの危険を解説。梁アカウントエグゼクティブは、「持ち出しPCの紛失・盗難対策を実施している企業は3割未満程度」と述べ、大企業・中小企業にかかわらず情報漏えい事故のリスクにさらされていると指摘した。同社の「TrustDelete」は、PCとサーバーとの通信が切れると、指定時間経過後に警告、ロック、消去を実施。紛失・盗難等でのオフライン時にも情報漏えいを防げるとした。
アイキューブドシステムズ
梁 信紀
アカウントエグゼクティブ
ベトナムオフショア開発を展開するカオピーズの佐々井文吉CSO(最高戦略責任者)は、「ベトナムオフショアの限界を突破する ― AIで実現する“超高速・超効率”開発モデル」と題し、AIを全面的に活用した最新のシステム開発モデルを紹介。同社では、要件定義、設計、実装、テスト、リリース、保守運用までをAIエージェントが支援する開発プラットフォーム「AI SDLC」を構築し、工数とバグの削減を実現したという。また、佐々井CSOは「最終的な判断承認は常に人が行うという原則」を強調。高い品質を求める日本企業のシステム開発でも評価を得ているとし、ベトナムの開発リソースとAI SDLCが、日本のSIer各社と連携して行うシステム開発に大きなポテンシャルがあると展望した。
カオピーズ
佐々井文吉
CSO
Skyhigh Securityの後藤匡貴・セールスエンジニアは、「生成AI時代の新たな盲点「ShadowAI」にどう備える? Skyhighが実現する安全なAI活用」と題し、会社の許可なく利用されるAIサービスからの情報漏えいリスクについて説明した。後藤セールスエンジニアは、「AIは非常に便利な一方、新たなアタックサーフェス(攻撃されうる面)になっている」と指摘。同社では、多くのAIサービスをリスト化し、既存のファイアウォール等の機器と連携することで従業員のAI利用を可視化できる製品を提供。AIサービスは仕様が頻繁に変わるため単純なブロックリストでは制限できないものも多いが、同社が永続的に変更を追跡することで、確実な管理を可能にしているとした。
Skyhigh Security
セールスエンジニア
後藤匡貴
PFU ドキュメントイメージング事業本部パートナービジネス統括部の吉野知恵氏は、「AI活用のボトルネックは紙? 現場に眠る紙を価値に変え、お客様のAI活用を広げる新提案」と題し、紙文書で蓄積された情報をAIで活用するアプローチについて解説した。吉野氏は「『ペーパーレス化』と『紙に書かれた情報のデータ化』は分けて考えられる」と話し、業務上の都合で紙の帳票やファクスの使用をやめられない場合でも、他のシステムやAIによるデータ活用は可能と訴えた。同社のAI-OCRシステム「PaperStream AI」を利用すると、帳票ごとの読取位置を事前設定しなくても項目ごとのデータ化が可能で、既存の複合機などに後から追加する形の提案も可能とした。
PFU
吉野知恵氏
サードウェーブ上席執行役員の宮本琢也・法人事業統括本部本部長は「ローカルAI時代のハードウェア提案」と題し、法人PC市場でのAI関連需要などについて説明した。宮本上席執行役員は「デスクトップPC市場はなくなると言われていたが、ずっと堅調に推移している」と述べ、モバイルPCが普及してもデスクトップPCの需要は根強いことを紹介。企業ではクラウドにデータを送信せずに使えるローカルAIへの期待が高まっていることから、同社ではGPUを搭載した小型デスクトップPCを開発し発売した。また、デスクトップPCでも落下試験などの耐久性評価を行っているほか、一般オフィスでの使用を想定した静音性、また短納期であることなども同社製品への評価につながっているとアピールした。
サードウェーブ
宮本琢也
上席執行役員