変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>23.日立システムアンドサービス

2004/06/14 20:43

週刊BCN 2004年06月14日vol.1043掲載

 日立システムアンドサービス(日立S&S)は、金融や流通業、自治体を中心顧客に据えたシステム構築事業がメインビジネス。だが、セキュリティ分野では製品の卸販売が主体で、日立S&Sにとっては異質のビジネス領域になっていた。

製品販売からの脱却へ

 米ネットスクリーン・テクノロジーズのファイアウォールアプライアンスの代理販売を7年前からいち早く開始し、「世界的に見てもトップクラスの販売実績」(河合均・ネットワークビジネス本部主管技師長)だったこともあり、プロダクト販売ビジネスがセキュリティビジネス全体のほとんどを占めていた状況が続いた。

 だが、7年前とは違い、セキュリティ分野は急成長市場の1つへと変貌。さまざまなセキュリティベンダーがアプライアンス製品をこぞって販売し始めたことから、アプライアンスの販売は「以前のように圧倒的に強い分野ではなくなった」(河合主管技師長)。そこで、プロダクト販売からシステム構築事業とソリューションメニューの強化に約2年前から方針転換している。「もともとの強みはインテグレーションビジネスやソリューションの提供。その強みをセキュリティにも横展開しただけ」(河合主管技師長)と、インテグレーションビジネスへの転換には、さほど戸惑いも苦労もなかったようだ。

 重点分野として目をつけたのは、セキュリティコンサルティングや情報漏えい対策など、競合企業も強化している分野に加え、認証などのアプリケーションセキュリティ分野だ。アプリケーションセキュリティは、ファイアウォールやIDS(不正侵入検知システム)導入などのネットワークセキュリティ分野に比べて、顧客の既存システムとの連携がさらに必要になってくることから、システムインテグレーション力が問われる領域。このため、インテグレーションスキルを生かして、「他社との差別化を図れている」(河合主管技師長)とし、ここ数年のセキュリティビジネスは年率約15%増で推移し続けている。

 システム構築事業では、プロダクト販売事業以上に扱う製品量も増えることになるが、その課題には自社調達だけでなく、日立グループの強みを生かす。日立製作所では約2年前から、「セキュアプラザ」の名称を冠して、日立グループの各企業が扱うセキュリティ製品を集約し、各グループ会社が自社で揃えていない製品も容易に調達できる仕組みを作っている。この仕組みを使うことで、「ほとんどの分野・製品はカバーできる」(河合主管技師長)のも強みだ。(木村剛士)
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