“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日

<“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日>23.IPテレビ海外事情(1)

2005/10/17 16:04

週刊BCN 2005年10月17日vol.1109掲載

 これまでは国内のIPテレビ(ブロードバンド放送)について見てきたが、今回は海外に目を転じてみよう。

 実は、欧米はもとより、お隣の韓国でもIPテレビがかなりのペースで普及し始めている。

 仏フランステレコム、伊ファーストウェブなど欧州の大手通信会社の一部は、すでに数十万人レベルの加入者を持つIPテレビ事業を手掛けている。

 米大手通信会社、SBCコミュニケーションズは2004年末から、マイクロソフトのIPテレビプラットフォームを使った配信サービスを開始。07年末までに営業エリア13州の1800万世帯にサービスを提供する計画である。

 韓国でも04年あたりから、人気番組はテレビ局が番組を放送してから1週間ほどのタイムラグを経て、ネットで再配信されるのが一般的になっている。

 ちなみに米調査会社In-Statによると、全世界で04年末時点のIPテレビ加入回線数は160万回線だったが、09年末には3200万回線に急増するという。

 これらの国は、日本と違って配信や著作権保護で特別な技術を用いていたり、他国に比べてとりわけ特異なビジネス環境があったりするわけではない。技術的にもビジネス的にも通信と放送が融合していくのは、世界的な傾向と言える。

 実際、日本でも通信と放送の融合を目指し、総務省が01年には「電気通信役務利用放送法」を成立させている。「IPテレビ普及に向けた政策では、日本は海外より進んでいた」(国内IPテレビ関係者)との声もある。

 そもそも、最初こそ出遅れたが、日本がブロードバンド先進国であることは周知の事実。高速ADSLや光ファイバーの普及率は高く、ビット当たりの絶対単価で比較しても、日本のユーザーはかなりぜいたくな通信環境を安いコストで享受しているといえる。

 インフラ(通信)から言えば、IPテレビが世界で最も先に普及していてもおかしくない状況。それが出遅れてしまった。

 その理由は、「通信市場は過酷な競争原理にさらされているのに、放送業界は市場開放が最も遅れている。既得権を手放すインセンティブがない」(前出の関係者)ことに尽きる。次号では海外の状況を詳しく見てゆく。(坂口正憲(ジャーナリスト))
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