地球温暖化防止への投資、エネルギー価格の高騰、非正規社員対策など、企業をとりまく環境は厳しくなる一方である。このような状況でも、製造業が世界市場のなかで優位性を保っているのは、徹底した生産性の向上と品質管理に取り組んできたからである。

 その中核になる技術が産業用ロボットである。それは製造ラインの高度な自動化を実現するものであり、その結果として、製造の効率化、省力化、品質の安定化などが達成できる。

 同じものづくりであるソフトウェア開発の分野では、産業用ロボットに相当するのがソフトウェア自動生成ツールである。この種の自動化ツールは国内外の製品がいくつか市販されているが、その普及はあまり進んでいない。

 ソフトウェア業界は、低い生産性、人材不足、品質不良に苦しんでいるにもかかわらず、自動化ツールの活用があまり進まないのはなぜであろうか。

 まず考えられるのは、この業界の下請け構造だ。元請けのベンダーを頂点とする深い下請けの階層構造では、元請けが自動化ツールを使わない限り、下請けが勝手に使うわけにはいかない。

 発注者側のユーザー企業にも問題はある。自動化ツールの場合は、画面や帳票などのユーザーインタフェース設計において、ユーザーが要求するきめの細かい仕様を必ずしも実現できるとは限らない。ユーザーが細部にこだわると、自動化ツールは使うのが難しくなる。

 では、自動化ツールを普及させるにはどうすればよいか。まずは元請けのベンダーが率先して使うことである。そうすれば下請けも使えるようになる。結果として、深い階層構造や人材不足が緩和されるとともに、オフショアへの依存度も減らせる。さらに、開発コストの低減や品質向上も期待できる。

 ユーザーもベンダーに対して自動化ツールの利用を要求し、自らも情報部門で活用することである。なお、自動化ツールは新規開発だけではなくレガシーシステムの更新にも十分適用可能である。そのことをベンダーとユーザーはよく認識する必要がある。

 国は産業用ロボットの技術開発を助成してきた。同じように自動化ツールの開発も助成すべきだ。また、ベンダーやユーザーがツールを購入する際の費用を補助することも必要だ。

 日本のソフトウェア産業の窮状を救えるのは自動化ツールである。今年がその普及元年になることを期待したい。