地場有力ITベンダー 未来を語る

【静岡県】ビック東海 情報と通信の融合を推進

2009/10/09 20:42

週刊BCN 2009年09月28日vol.1302掲載

 「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を数えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。最終回となる第4弾をお届けする。  地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか──。

早川博己 社長
 当社は、CATVや光ケーブル網を生かした“情報と通信の融合”に力を入れている。2005年10月にCATVやインターネット接続を手がける旧トーカイ・ブロードバンド・コミュニケーションズと合併し、旧ビック東海のシステム構築力と融合させることで、ブロードバンド網を活用したアウトソーシングやクラウド/SaaSビジネスを軌道に乗せつつある。08年4月には、静岡県焼津市に2棟目の次世代データセンター(DC)を開設。クラウド/SaaSのメニューを大幅に拡充した。

 合併前の旧ビック東海は、ユーザーや大手SIerからの受託ソフト開発の比率が多かったが、今は強固な通信基盤を生かしたアウトソーシングなど、サービスビジネスの増強に軸足を移しつつある。例えば、外食チェーン店・すかいらーくの店舗をネットで結んだ販売管理システムのアウトソーシング実績などを生かし、別の大手外食チェーンへの横展開を推進している。DCを軸とした情報サービスと通信網を生かしたストック型のビジネスモデルでないと、十分な競争力や収益力を確保できないと考えている。今後は、サービス型ビジネスを重視していく。

 情報サービス事業における営業利益構成比は、08年3月期はソフトの受託開発がストック型ビジネスの2倍以上あったが、新型DCの開設をバネにサービス型のビジネスを拡大した。2011年3月期には、ストック型ビジネスで受託開発を上回る営業利益を稼ぎ出す計画を立てている。DCをベースとしたアウトソーシングや独自のクラウド/SaaSの商材を積極的に投入することで、収益構造の抜本的な改革を進めたい。

代表者…早川博己 社長
売上高…381億円(連結)
利益率…45億円(営業利益)
主要顧客…流通サービス、外食チェーン店、
通信、製造、金融など
ハードとソフトの比率…公表せず
県内・県外比率…3.5:6.5
(情報システム事業のみ)
 一方で、DCや通信網にかかる先行投資の負担がかさむ。そこで打ち出したのが、他のDC事業者との協業による規模のメリットの追求だ。地域のSIerのなかには、受託計算センターの流れを汲むDCを保有する企業が少なくない。当社はDCや通信網を構築してきたノウハウをベースに、例えば最新の仮想化プラットフォーム構築などでの協業を想定している。スケールメリットで、収益力の強化や先行投資の早期回収に努める。
  • 1

外部リンク

ビック東海=http://www.victokai.co.jp/