視点

企業に負担増強いる法改正、続々と

2010/04/08 16:41

週刊BCN 2010年04月05日vol.1328掲載

 新年度に当たる4月1日には、多くの人事・労務関係の法改正が施行された。これ以降も法律改正が続く予定である。政権が変わり、予想されていたことではあるが、法改正から目が離せない状況になってきた。

 4月1日施行分で主なものは、改正労働基準法である。従業員が300名を超える会社(業種によっては100名など)では、月60時間を超えた残業に対する賃金の割増率が25%から50%以上の率となる。また、時間単位の年次有給休暇制度も導入が可能になった。社会保険関係も改正が行われ、協会健保の保険料率が全国平均8.2%から9.34%にまで引き上げられる。さらに、雇用保険の率も変更になり、一般の事業で1.1%から1.55%まで引き上げが行われる予定である。

 さらに、6月30日には、改正育児・介護休業法が施行される。パパとママが育児休業を取ると、従来の1歳までではなく、これが2か月延長(計14か月)されることとなった。また、子供が病気になったような場合に取得する看護のための休暇が、2人以上の子供がいる家庭では1年度に10日まで取得可能となる。

 従業員が100名を超える会社には、これらの改正以外に、短時間勤務制度の導入など子育てにやさしい会社作りが求められることになる。

 今年度後半の国会では、労働者派遣法の改正、確定拠出年金法の改正等も予定されており、人事・労務以外の分野を含めると膨大な数の法律が改正されることになる。法律改正は、私のような資格業にとっては大変大きなビジネスチャンスとなる。これは、資格業だけでなく、ソフト業界にとっても大きなチャンスとなるはずである。

 このような人事・労務分野の法改正が行われる状況下にあって、景気はリーマン・ショック以前に戻ったとはとてもいえない状況である。社会保険関係における保険料のアップは会社の労務コストの増大にもつながり、景気回復の妨げになっているともいえる。

 社会保険料の負担は、今後、増えることはあっても減ることはない。年金や医療だけでも、会社と個人3%程度負担が確実に増えていく。年収500万円の社員を抱えていると、年間で15万円の負担増である。このクラスの社員が100名いると1500万円の会社負担が増えることになる。社会保障制度と会社のあり方、国のかかわり方を真剣に見直さないといけない状況になっている。
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