視点

ITベンダーは請負い体質から提案体質へ

2010/09/30 16:41

週刊BCN 2010年09月27日vol.1351掲載

 昨年暮れ、立川、八王子、青梅、三鷹など多摩地区企業2000社に対してIT利活用のアンケートを実施し、有効回答数429通を得た。まず、「中小企業のIT化はどのくらい進んでいるか」という問いに対する回答では、ほとんどの企業でインターネットに繋がるパソコンが稼働している状態であり、電子メールとワープロや表計算ソフトを利用していることがわかる。さらに、進んでいる企業では販売管理、生産管理あるいは会計や給与計算などいくつかのパッケージソフトや開発ソフトを活用して業務をしていることもわかる。しかし、それらは社内のみの、守りのシステムといわれている活用方法である。

 これから必要なのは、社内のデータのみならず、インターネットを通じて社外のシステムや仕組みと連携することであり、お客様や売り上げをあげるための攻めのシステム活用である。すなわち、お客様や取引先あるいは金融機関、自治体等とのデータ連携であり、ネットショップやホームページの充実、EDI(電子データ交換)などの電子商取引、インターネットバンキングなど外部とのデータ連携である。

 外部とのデータ連携は、24時間365日で動く。朝の9時から夕方6時までの8時間稼働に比べて約3倍以上の稼働を可能にする勘定だ。ITをフルに動かせば、生産性は単純に3倍アップするのである。

 企業の大小を問わず、これからのIT戦略はネットを活用して攻めるためのIT活用をどうするかであり、実はこのことは新しいビジネスモデル(儲けの仕組み)をどう構築するかの問題でもあるのだ。とくにネット社会の動きは、リアル社会と異なり、目に見えないだけに気がつくのが遅くなる。経営感度を研ぎ澄ます必要がある。

 ITを取り入れる際に外部からのアドバイスなり指導を活用したいと考えている経営者は全体で62%を占めており、外部の支援は必要と思われる。

 しかし、その時の相手を選ぶに際して経営者はどんなところにポイントをおいているかという質問に対しては、専門性、提案力、価格の安さが上位3点となっており、次いで過去の実績や知人の紹介、地元に拠点がある、などの安心感を求めている。

 とくに専門性のある提案力は、日頃からユーザーの先回りをして、さまざま分野で情報技術や市場の動きを研究し、いつでも提案できる体制が必要であり、受注してから仕事が始まる請負い型とはまったく違うビジネスモデルである。

 今、ユーザーはスピード感に溢れ、目に見える提案を求めているのだ。
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