IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>5.平山ファインテクノ(上) システム刷新で生産性向上

2010/11/25 16:04

週刊BCN 2010年11月22日vol.1359掲載

 1910年創業の平山ファインテクノ(平山光裕社長)が設計・製造するプリント配線板は、携帯電話の基地局やLED照明、コンビニのPOS端末などの幅広い分野で利用されている。

 多品種・少量生産であるうえ、「工程が長く、ひと月に5000~6000オーダーをこなしている。そのため、20年ほど前からリアルタイムのオンラインシステムを構築してきた」(平山社長)という経緯がある。

 ITコーディネータ(ITC)の齊藤順一・ITC横浜副理事長が「中小企業には非常に珍しく、メインフレームを導入している」という平山ファインテクノは、複雑な納期管理に対応したり、外部の協力会社とのデータ連携を強化したりするために、オープン系システムを導入した。メインフレームは、生産指示と生産完了後の統計、管理処理を担い、オープン系で生産現場の情報活用や管理をすることになった。

 「HOPEシステム」と名づけられた新システムは、(1)生産進捗工程の見える化、(2)人的業務の工数削減、(3)協力会社とのデータ連携強化、(4)納品サービスの向上を可能にした。

 システム導入のそもそものきっかけは工場の移転だ。従来、プリント配線板の製造工程は、内層工程を担当する川崎の3工場と外層工程を担当する山梨県の1工場に分散していた。これを生産性向上のために、内層工程を担当する山梨県の上野原工場と外層工程を担当する山梨工場の2拠点に集約。工場の拠点集約を実施するにあたり、機械稼働率や人員配置を最適化するロット管理が必要になっていた。

 過去に遡れば、2002年から推進している生産革新活動の延長線上にシステム導入があるといえる。この活動の目的は、生産性向上とリードタイム短縮。工程の統合によるリードタイム短縮などに取り組んできた。

 平山社長は「生産そのものが中国や東南アジアにシフトするなかで、どうやって生き残っていくか、真剣に考えてきた」と話す。プリント配線板の国内生産で残っているのは手間がかかる多品種・少量生産型。生き残っていくためには、多品種・少量生産・短納期を強みに海外との差異化を図っていくことが不可欠となっている。同社が抱く強い危機感が、生産性の向上として実を結んできた。(つづく)(信澤健太)

2009年11月に竣工した川崎本社
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