IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>11.シンヨー(上) 業務の個人依存から脱却

2011/01/13 16:04

週刊BCN 2011年01月10日vol.1365掲載

川崎市にある本社社屋
 シンヨー(森哲夫社長)は、マンション・ビルの大規模修繕工事やメンテナンスのほか、プラント・メンテナンス、アスベスト除去、人材派遣などの事業を展開している。なかでも売り上げの60%程度を占めるリニューアル事業を柱としている。「景気変動の影響を受けにくいストックビジネス」(寺沢淳・執行役員管理本部総務部部長)であることが特徴だ。

 ウェブブラウザで操作できるSaaS/ASP型の情報ポータルサイトを採用し、社内コミュニケーションや情報共有が容易になった。システム提供を手がけたITコーディネータの児山満氏は、「2006年から段階的にサービスの提供を開始した。当時の建設業でASP/SaaS利用の先進的な事例」と話す。

 従来、同社は、受注管理、給与計算、外注管理、原価管理、会計、固定資産管理などについては自社開発のシステムで運用してきた。情報システム担当者は3人配置している。

 一方で社員のスケジュール管理や文書管理などは、メールや電話で確認・調整したり、個人のやり方に依存したりしていたため、手間と時間がかかって業務効率が悪かった。例えば、各種文書や勤務データは、社員がそのつどExcelなどを使って独自に作成しており、個人が保管している文書の共有が困難な状況にあった。外勤の工事部員は現場への直行が多く、業務連携が取れていなかった。それだけではない。各業務の決裁は紙文書の稟議方式だったので、最終決裁までに時間がかかっていた。決裁がおりるまでの手待ち時間が、業務のスピードアップを阻害していたのだ。

 寺沢・執行役員は「スケジュールや文書の管理をきちんとできるようにしたかった。このほか必要だったのは、決裁や就業管理の効率化。これまで手入力だった就業管理から給与計算へのデータ連携もできればよいと考えていた。そもそもFAXであれば、送った、送っていないなどの問題になる」と説明する。 同社は、総務部管理グループ内の責任者と担当者が先導して各部門からメンバーを選出。プロジェクトチームを結成して、IT活用による業務改善活動に乗り出した。(つづく)(信澤健太)
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