視点

太陽光発電の専門資格制度を設けよ

2012/04/12 16:41

週刊BCN 2012年04月09日vol.1427掲載

 一般社団法人太陽光発電協会(J-PEC)は、平成23年度の4月から12月までの住宅用太陽光発電補助金交付決定件数を発表した。東日本大震災以降での太陽光発電設置件数ということになるが、その数は16万7553件で、前年同期比32%の増加となっている。急激に増え続ける太陽光発電だが、業界内では設置工事者の人材不足と工事品質の向上が課題となっている。

 施工業者が太陽光発電の設置工事を行うためには、第2種電気工事士以上の資格者が各メーカーごとに3日間程度の研修を受講して、施工のためのID資格を取得する必要がある。ただ、メーカーの研修施設が限られており、受講申し込みをしても半年待ちのメーカーもある。また、販売店は国内外の取扱いメーカーを増やしているが、施工業者はそれぞれのメーカーID資格を取得する必要があるので、対応が追いついていない。さらには、パワーコンディショナーなどの取り付けは、エアコンなどと異なり、知識・経験が必要となること、現場での管理監督者に必要な知識を研修する制度や資格がないことが、トラブルの原因となっている。

 今年7月には「再生可能エネルギー特別措置法」が施行され、これからは住宅用とともに産業用の太陽光発電市場も拡大していくことが予想される。施工工事者・工事管理者の人材育成と品質向上が急務となっている。その対策として、政府は「太陽光発電工事士」や「太陽光発電主任技術者」といった国家資格を早急に整備する必要があると考える。

 近い将来、「スマートシティ」とか「スマートハウス」にスマートメーターや制御装置を設置し、電力データを無線LAN・インータネットなどでデータセンターに送信し、管理センターやスマートフォンなどのデバイスからコントロールするようになるだろう。そして、それを実現するには、設置工事の管理者・施工者に情報通信技術の知識・経験が必須となってくる。

 現在、電気工事関連は経済産業省が管轄する「電気主任技術者」「電気工事士」の資格が、また、通信工事関連は総務省が管轄する「電気通信主任技術者」「電気通信設備工事担任者」の資格がある。この両方に関わる必要な知識・経験を持ち合わせる人材を育成するための研修制度や資格制度の整備についても検討すべきだ。世界的に電気制御技術と情報通信技術の融合が加速するなかで、その両方の知識・経験をもつ技術者の育成も急務と思う。
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