ITホールディングス(ITHD)グループは、情報サービス業界の再編を常にリードしてきた最有力SIerグループの一社である。業界有力SIerのインテックグループとTISグループが持ち株会社方式で2008年4月に経営統合。ITホールディングスの社名は両グループの頭文字とITを重ね合わせたとの見方が有力だ。その後、2009年12月には有力SIerのソラン(現新生TIS)が加わるなど、業界再編の中心的役割を果たしている。(取材・文/安藤章司)

アジア成長市場へ果敢に進出

 ITHDグループの直近の2012年3月期の連結売上高は前年度比1.3%増の3274億円。いわゆる情報サービス業界の実質的な年商トップグループ“3000億円クラブ”の主要メンバーだ。同水準の規模では野村総合研究所(NRI)やSCSK、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、日立システムズ、日立ソリューションズなどが挙げられるが、ユーザー系、メーカー系のいずれにも属さない独立系SIerでは最大手である。

 経営統合から4年がたった今、ITHDグループは岐路に立っている。設立当時はグループ会社がそれぞれの強みを前面に打ち出す方針を採っていた。強みや持ち味を連峰になぞらえて“八ヶ岳経営”ともいわれる戦略である。しかし、リーマン・ショック以降、長く続いた業界のダウントレンドや、クラウドを中心としたサービス化、グローバル化の潮流のなかで、経営リソースを集約する「as One Company」体制へと大きく舵を切った。この動きは2011年4月のグループ会社の旧TISと旧ソラン、旧ユーフィットが合併して新生TISとなった時点で、すでに始まっていたとみるべきだろう。今後は、グループ中核事業会社のTISとインテックの2社を軸とした再編に注目が集まる。

 「as One Company」で求心力を高める背景には、成熟度合いが増す国内市場での一層の経営効率化や、アジア成長市場への投資余力の拡大などがある。ITHDグループは、国内大手SIerのなかでいち早く中国・ASEANへ進出。日本の主要SIerのなかで最も早い2010年4月に中国天津に大型次世代データセンター(DC)を建設したのもITHDグループである。直近では、天津DCを活用し、中国の有力スーパーコンピュータメーカーやCDN(Contents Delivery Network)ベンダー、通信事業者などとより密接に連携するとともに、シンガポールやタイなどASEAN市場でのビジネス拡大に力を入れる。中期経営計画では2015年3月期に連結売上高3500億円、営業利益率7%以上を目指している。