IT活用によって競争力を高め、地域の活性化につなげる──。

 東京・青梅市に本社工場を構える武州工業は、アルミパイプなどの建設機械/自動車向け部品の製造を手がけている。日本のメーカーの多くが、グローバル化による価格競争の激化に悩まされている状況にありながらも、武州工業は売り上げを順調に伸ばし続けている。

 好調な業績には、IT活用が寄与している。情報システムを用いて在庫や顧客情報を管理することで、極力、生産費用を抑える。これによって、日本の高い人件費をカバーし、海外生産とほぼ同じレベルの低価格を実現している。

 同社は、リーマン・ショック以降に景気が悪化し、一時期、売り上げが落ちたときも、収益を上げることができた。IT活用によって、業務の効率化を徹底し、さらなるコスト削減につなげたからだ。

 10年ほど前から武州工業を支援しているITコーディネータ(ITC)の川内晟宏氏は、「中小規模のメーカーとして、武州工業は、IT活用の最先端を走っている」と評価。

 「武州工業のように、経営トップが本格的に情報システム化に取り組めば、中小企業でも、IT活用による経営改善は夢ではない」と川内ITCは断言する。

 武州工業を率いて、積極的にITを導入してきた林英夫代表取締役。コスト削減を重視する同社の経営哲学に合わせ、情報システムはベンダーに発注せず、自社での専門部隊が開発する、という戦略を採っている。

 在庫管理などのシステムを、iPadなど低価格の汎用端末と接続し、製造現場で使いやすいよう工夫している。システムを自社で開発・運用し、汎用端末を使うことによって、コストを下げるとともに、自社にぴったりのシステムを実現している。

東京・青梅市に本社工場を構える

 川内ITCは、武州工業を常にバックで支えている。もともと、受発注をデジタル化する地域EDI(電子商取引)ネットワーク構築を手伝うことが、武州工業を支援するようになったきっかけだ。

 現在も、年3~4回、林代表と打ち合わせをし、武州工業のIT活用方針に合わせて、大学の教授など、自分の人脈を紹介する。(ゼンフ ミシャ)