DTS中国法人が独自に開発した業務アプリケーションソフト「RIC'S（リックス）」は、購買や販売、在庫をウェブ上で統合的に管理するシステムである。「請け負いのソフト開発だけでは、本当の課題解決にはならない」（DTS中国法人の高田政和総経理）という信念から、コツコツとモジュール単位でつくりあげてきた経緯がある。

「赤字会社」で投資できず

　とはいえ、DTS中国法人は2012年にようやく累損を解消できた段階であり、2007年に中国へ進出して以来、数年の間は“持ち出し”の状態が続いていた。「当時、赤字だった当社が大胆な先行投資ができるわけもない」（同）状態だったが、それでも、顧客の了承を得ながら、日常のシステム構築案件のなかからモジュールを切り出して標準化するかたちで、投資コストを最小限に抑えつつ「RIC'S」を組み上げた。

　高田総経理は「中国という成長途上の巨大市場で、顧客のビジネスを成功に導いてこそ評価される」との考えで、中国市場に最適化した業務アプリケーションとして「RIC'S」を開発した。中国での成功事例のノウハウをパッケージに集約することで、価格を抑えてユーザーの生産性を高められる仕組みに仕上げてきたのだ。DTS中国法人は、こうした取り組みによって2011年に単年度黒字化、翌12年には累損解消するまでの成長を遂げた。（安藤章司）