ビッグデータ関連施策では、短期的に取り組むべきテーマとして「基礎技術の開発」が掲げられている。担当省庁は、総務省、文部科学省、経済産業省の3省だ。実はこの3省は、新IT戦略が確定する前から、平成25年度事業として予算を確保し、この事業を開始している。
3省連携で基礎技術開発に取り組む
これまでの国のIT関連施策は、各省が個別に取り組みを行い、横の連携が取れていないことが課題だった。しかし、3省のビッグデータ基礎技術開発関連事業は、今年度、科学技術施策の内閣諮問機関である総合科学技術会議と科学技術政策担当大臣により、「科学技術関係予算・重点施策パッケージ」に指定され、予算が重点配分されている。つまり、3省の関連施策をパッケージ化して、フォローアップなどを一体にして進めていく事業スキームがすでに打ち出されているということだ。
個別の研究開発テーマとしては、総務省がビッグデータの収集・伝送技術の確立に取り組むほか、経産省は膨大なデータの高度な解析をリアルタイム処理する技術、文科省はデータから意味のある情報を抽出するための利活用・分析技術の確立をそれぞれ目指す。また、パッケージ全体の取りまとめは総務省が担当し、3省の合同委員会で個別の研究開発の進捗管理を行う。総務省の担当者は、「省庁間に横串を刺して関連施策をパッケージ化することで、産業競争力を高める成果を出したい」と意気込む。平成25年度予算概算要求の準備段階から担当者間の調整を継続しているということで、手応えを感じている様子だ。
一方で、米国政府はすでに昨年の3月に、「Big Data Research and Development Initiative」というビッグデータ活用に向けた大規模研究開発のスキームを発表している。これには、2億ドル以上の資金を投入する方針だという。今回のパッケージ全体の予算規模は、平成25年度の新規事業のみで42.1億円+α(5.6億円の内数)を計上しているが、前年度からの継続事業でパッケージに組み入れられたものの予算を合わせても、米国の予算の4分の1程度にしかならないのが実際のところだ。(本多和幸)