IT分野での近年の一大トレンドである「ビッグデータ」。その利活用促進も重点施策に掲げられている。上位目標である「革新的な新産業・新サービスの創出と全産業の成長を促進する社会の実現」のキーとなる領域だ。オープン化された公共情報(オープンデータ)や、企業がもつ顧客情報、個人のライフログ情報など、膨大な種類・量の情報を相互に結びつけて活用することで、企業活動や消費者行動に大きなメリットをもたらすイノベーションを促すのが基本的なコンセプトだ。
パーソナルデータの規制緩和が欠かせない
政府の新IT戦略では、ビッグデータの利活用促進によって「顧客のニーズに応じたデータを自動的に抽出するプログラムを開発する」などの新たなビジネスが生まれるポテンシャルがあると指摘している。
実際には、ITベンダーを中心にそうした取り組み、とくに技術開発の動きはすでに広がりつつある。政府もそれは認識しており、当面の施策でポイントとなるのは、ビッグデータ利活用のための環境整備だ。具体的には、ビッグデータを経済の成長につなげる重要なファクターとなる「パーソナルデータ」の取り扱いについて、ルールを明確化し、規制緩和を進める。
消費者のパーソナルデータは、企業にとって有用な経営資源だが、日本の企業は、従来、プライバシーや個人情報保護の観点から、これを積極的に活用することはビジネス上のリスクと捉えてきた傾向がある。この状況を打破できるかどうかが、目標達成の成否を左右する。(本多和幸)