将来に備えてフリーターを支援

中明知也 氏 30歳の直前で起業し、モバイル端末向けアプリケーションの開発ノウハウを強みにして、フリーエンジニアとしてのビジネスを5年ほど続けてきた中明知也は、事業が軌道に乗っているにもかかわらず、一人で仕事するスタイルを終えようとしている。
「当然のことだが、一人でやっていると物理的に量をこなすことができずに魅力的な仕事でも断らなければならない場合がある。それに、後輩の育成ができない。長期のスパンで考えると、私が得たノウハウやスキルを後輩に伝えておきたい。そうするためには、今のフリーエンジニアというワークスタイルでは不可能だと実感している」と中明は言う。
実は、中明は、ソフト開発スキルはもっているものの、人づき合いが下手だったり、組織になじめなかったりしてフリーターを続けている20代前半の若者で、エンジニアのタマゴ数人の面倒をみている。「仕事を少し手伝ってもらってはいるが、その仕事内容以上の対価、お金を払っていると思う。一緒にいろいろやりながら、ソフト開発スキルや社会人としての基本を教えている。スキルがあるのに、くすぶっている若手がいるのは残念。まだ自分に少しだけ経済的に余裕があるから、将来、会社を立ち上げて経営するときの仲間を育てているような感覚で支援している」という。 「プロジェクトごとにフリーエンジニアを束ねてチームをつくることがあるが、長期にわたって仕事したいと思えるメンバーを組織していきたい」と中明。40代に入る前には、たとえ数人でも、正社員を雇用して「会社」を経営していきたいと中明は展望を語った。(おわり)[文中敬称略]