視点
「情シス不要論」は本当に正しいか
2014/09/25 16:41
週刊BCN 2014年09月22日vol.1547掲載
このところ、ITの世界で「情シス不要論」が目立つようになってきた。「ビジネスに役立つITは、現場を知らない情報システム部門(情シス)ではわからない。だから、各事業部門が自分たちに最適なITを自ら選んで導入する。クラウドの登場で、それが容易になったのだから、情シスは不要になる」という論調だ。メディアや有識者が煽り、それにITベンダーも乗った。
クラウドが登場したことで、IT環境を自ら用意しなくてもネットワークと端末さえあれば、業務アプリケーションを容易に導入できるようになったことは確かだ。「情シス部門が選んだアプリよりも、自分が知っているクラウドを導入したほうが仕事がはかどるのに……」と思った経験が私にもある。
しかし、この論調には、どこか違和感がある。
各事業部門が個別に好みのITインフラやアプリを導入するようになったら、情シス部門の管理は事実上崩壊し、セキュリティ上の危険性が高まる。そして、企業の信頼が失墜するような重大なリスクを抱えることになる。それはきっと、企業がウェブサイトを乱立させたことに起因して生まれたリスクと同じ性質のものだ。
ウェブでのマーケティングが主流になり始めた数年前、各製品を担当するマーケッターは、ウェブ部門が運用・管理するウェブサイトでの情報提供では足りず、スピードも遅いと感じて、それぞれの製品部門が自らプロダクトやサービスごとのウェブサイトを開設し始めた。その結果、ウェブ部門が管理しないウェブサイトが乱立し、制御不能に陥った。同じ会社でも統一感のないウェブサイトが複数あるのは、こうしたケースが多い。公式サイトは強度なセキュリティ対策を施しているのに、各事業部門のサイトはぜい弱性だらけ。そのぜい弱性を突かれて、個人情報の流出につながったケースが散見される。
システムのお守りを続けるだけの情報システム担当者は変わるべきで、そうでなければきっとクラウドに仕事を奪われる。だが、ITの全体最適・管理は必要不可欠で、その役割を担うのはITのプロである情シスが望ましい。事業部門にIT導入の意思決定を中途半端なかたちで任せてはいけない。「情シス不要論」は「情シス進化論」であるべきで、ITベンダーは、その情シスを支援する存在であってほしい。
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