ニューロスカイジャパンが着目したのは、「脳波」と「心電/心拍」だ。とくに脳波は微弱なので、頭部に電極をいくつも装着しなければ測定できなかったが、同社のセンサは耳とひたいの2か所で測ることができる。簡易な測定法ではあるが、「これまでウェアラブル機器では測定できなかったものを、できるようにした功績は大きいはずだ」と、同社の伊藤菊男CEOは胸を張る。

　脳波測定によって「通常」「集中」「リラックス」「極度に集中した状態」などの心の動きをおおまかにつかむことができる。例えばヘッドホンに組み込むことで、集中したいときのBGM、リラックスしたいときに聴きたくなる曲などを自動的に推薦する仕組みに応用することができる。また、スポーツ選手の心の状態を測定したり、仕事や勉強への集中度合いを測定したりする用途などへの活用も考えられる。

　一方、医療への応用は、超えなければならない規制はあるが、「ウェアラブルで脳波を測定する時代は必ず来る」（伊藤CEO）と、ヘルスケア分野への進出に強い意欲を示す。同社の心電/心拍センサと組み合わせて、心臓と心の動きの両方を測定。これらのデータから何らかの傾向を導き出し、スポーツ選手の効果的なトレーニング方法を考案したり、心臓病や認知症の進行具合を遠隔地の専門医が分析したりといった活用法が考えられる。（安藤章司）