情報サービス業界のキーパーソンのなかでも、ウェアラブルコンピュータの愛用者が増えてきている。新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)の謝敷宗敬社長もその一人だ。今年3月に米ミスフィット・ウェアラブルの時計型ウェアラブル端末「Misfit Shine」を手に入れて以来、愛用している。薄型軽量の活動量計で、時計型でありながらディスプレイはなく、スマートフォンにデータを転送して可視化する仕組み。ディスプレイがないので、電池は3~4か月間もつ。

謝敷宗敬
社長 謝敷社長は、左手首に腕時計をつけ、右手首にShineをつけている。「軽いので右手首につけていても邪魔にならない」というように、軽さが大きな魅力になっている。機能面では、1日の歩数や燃焼カロリー、歩いた距離、睡眠時間と眠りの深さなどを可視化する。歩数などの計測は従来の歩数計と大差ないが、大きな違いがあるのは睡眠関連の機能だ。「何か心配事があるときは眠りが浅く不安定で、そうでないときはぐっすり眠っている様子が可視化される」(謝敷社長)と、睡眠時間や睡眠の深さをわかりやすくスマートフォンに表示してくれるのが興味深いとお気に入りの様子だ。
もう一つ評価しているウェアラブル端末は、米ゼップ・テクノロジーの「Zepp Golf」だ。加速度センサをゴルフグローブに取りつけ、ゴルフクラブの動きをスマートフォンなどのディスプレイ上に三次元のように可視化。「自分のクラブのスイングと、お手本となるプロのスイングの軌跡を比較する」(同)ことで、よりよいフォームの習得に役立つウェアラブルコンピュータだ。
こうしたウェアラブル端末を実際に使ってみて、謝敷社長がまず感じたことは、部品価格が安いことだ。「ウェアラブルの心臓部となる加速度やジャイロなどのセンサの単価は、おそらく1個数百円程度」ということ。これをスマートフォンアプリなどと組み合わせて、健康管理やゴルフ上達といったサービス体系に仕上げることで1万数千円から2万円を超える価値を生み出す。NSSOLはShineやZepp Golfのようなコンシューマ向けのビジネスに進出する予定はないが、それでも「こうしたウェアラブルをB2B(ビジネス向け)領域に応用すれば、大きな価値を生み出せる」とみる。
社長自ら最先端のウェアラブル端末を身につけ、スマートフォン片手に使い勝手を徹底的に検証。その次の段階で、NSSOLのB2Bビジネスに、例えば「IoT」や「M2M」的なかたちで取り込み、まとまったボリュームの価値を生み出せるのかについて研究を進めていく方針だ。(安藤章司)

時計型ウェアラブル端末「Misfit Shine」。公式HPから引用