［データサイエンティスト］
（一般的には）ビッグデータを分析し、ビジネスに有用な知見を引き出す人材

　「ビッグデータ」の登場によって、注目を浴びることになったデータサイエンティストだが、明確な定義は存在しない。一般的には、ビッグデータを分析し、ビジネスに活用できる知見を引き出す人材のことを指すとされる。総務省では、平成26年版情報通信白書のなかで、データサイエンティストを「明確な定義は存在しない」と前置きしたうえで、「単に企業内/組織内のデータを集約して処理するだけの人材ではなく、そこから有用な知見を引き出したうえで、企業の意思決定に生かすことのできる人材」であるとしている。そのうえで、求められる能力として、データ分析のための統計学の知識、分析ツールやデータ処理基盤を使いこなす能力、ビジネス上の課題を発見・解決する能力、得た知見を人に伝える能力などを挙げている。

　インターネットの普及などによりデータ量が急激に増大していることで、ビッグデータ活用の有用性に関心が集まっている。しかし、膨大な量のデータがあっても、それを分析できる人材がいなければ意味がない。平成27年版情報通信白書によると、業界全体の9割近くの企業において、ビッグデータの分析は「業務に応じた各担当者」が行っていることが明らかになったという。「専門のデータ分析担当者」は17.8％と、決して高い数値ではない。

　こうした背景に加えて、日本ではデータ分析に必要なスキルをもった人材が不足していることから、データサイエンティスト育成の取り組みが行われている。（文／前田幸慧）

［SDN］
ネットワーク機器の構成や機能などを、ソフトウェアで定義すること

　SDN（Software-Defined Network）は、ネットワーク機器の構成や機能などを、ソフトウェアで定義することによって動的に制御する技術のことを指す。

　これまでのネットワークでは、スイッチやルータ、ファイアウォールなど、機能ごとに物理的な機器が独立しており、各機器の個別設定やネットワークケーブルの配線によって、ネットワーク管理者がネットワークの構築や変更作業を行うというのが通常だった。SDNでは、そうした多数のネットワーク機器をソフトウェアで一元管理することで、物理的な構成にとらわれることなくネットワークを制御することができる。

　これにより、物理的な機器の導入や配線の変更という作業が不要になったほか、ネットワークを一つに集約することで、機器コストの削減や運用効率の向上にもつながる。また、機器の各機能をソフトウェアでまとめて管理できることから、ネットワークの状況に応じて柔軟に設定を変更することが可能になる。

　調査会社のIDC Japanによると、データセンター向けSDN市場規模は、2014年の52億円から19年には460億円まで拡大する見込みであるという。また、企業ネットワークのSDNにおいては、ユーザーへのアプローチが進み、SDNの実用性が認知されつつあると分析したうえで、14年から19年にかけて、年平均55％で成長すると予測。SDNを中心に、ネットワークの仮想化への注目が高まっている。（文／前田幸慧）