［シンクライアント］
クライアント端末に必要最低限の機能だけをのせて、サーバー側で処理を行うシステム、端末のこと

　シンクライアントとは、ユーザーが使用する端末（クライアント端末）に、サーバーに接続するためのネットワークの機能と、画面表示や入出力の機能のみを搭載し、アプリケーションやデータなどをサーバー側で管理するシステム、端末のことを指す。英語の「thin（薄い、少ない）」と「client（クライアント）」とを組み合わせたことば。

　PCが従業員一人ひとりに割り当てられるようになると、運用管理にかかるコストが問題となり始めた。管理対象の台数が増えただけでなく、PCが故障すると、初期設定からアプリケーションのインストールまで行わなければならないなど、管理担当者の作業が激増したからだ。

　そこで1990年代に登場したのが、シンクライアントである。シンクライアントでは、アプリケーションやデータなどはサーバーで一元管理するため、クライアント側ではサーバーに接続するための設定程度の作業で済む。そのため、シンクライアント端末が故障しても、別のシンクライアント端末をサーバーに接続するだけで、使用していた環境をすぐに再現できる。例えば、資料の作成中にシンクライアント端末が故障しても、作成中の資料はサーバー側に残っている。

　端末にデータを残さないため、仮に端末を紛失してしまったとしても情報漏えいの心配は低い。そのため、最近ではセキュリティ対策としてもシンクライアントの注目が高まっている。（文／前田幸慧）

［VDI］
デスクトップ環境を仮想化して、サーバー上で集中管理する仕組み。デスクトップ仮想化インフラ

　VDIはシンクライアントの一種である。シンクライアントの実装方式は、「ネットワークブート型」と「画面転送型」の2種類に大きく分けることができる。前者は、サーバー上に格納したOSやアプリケーションを、ネットワークを経由してクライアント側に転送し、クライアントのメモリ上に展開して起動（＝ブート）する。後者はOSやアプリケーションをサーバー上で起動し、クライアント端末には画面を転送する。画面の転送方法にはさまざまあり、そのうちの一つがVDI（Virtual Desktop Infrastructure、デスクトップ仮想化インフラ）だ。

　VDIは、仮想化技術を用いてデスクトップ環境（OSやアプリケーションなど）を仮想化し、サーバー上に集約して管理する。クライアント端末は、ネットワークを通じてサーバーと接続し、デスクトップ画面を呼び出して操作する。アプリケーションもサーバー上で動作するため、クライアント端末は画面情報を映し出すのみ。そのため、PCやVDI専用端末だけでなく、タブレット端末などでも利用可能であり、端末側の導入コストを抑えられる。ただし、その分、サーバー側の導入コストが大きくなる。

　そこで、パブリッククラウドを経由してデスクトップ環境が提供される「DaaS（Desktop as a Service）」である。DaaSはVDIの一種で、月額課金がベースであることから、導入コストを抑えられるため、オンプレミスのVDI解決の手段ともなっている。（文／前田幸慧）