自動運転車

　人間がハンドルやアクセル、ブレーキを操作しなくても走行する自動車。最近では、実用化に向けて自動車メーカーやIT企業が研究を進めている。

　自動運転の歴史は、1970～80年代に始まったといわれている。これまでは、自動車にカメラなどのハードウェアを搭載して周囲の状況を把握し、制御にはソフトウェアによるルールベースを用いるのが中心だった。

　大きく盛り上がるきっかけになったのは、第三次人工知能ブームだ。ディープラーニングで膨大な量のデータの学習が可能になり、実用化に向けた期待感が一気に高まった。

　自動運転の研究には、世界中の企業や大学が積極的に取り組んでいる。日本では、自動車メーカー最大手のトヨタ自動車が、米国に研究開発拠点を設立。日産やホンダ、スバルも16年頃から、他社との協業や投資などを活発化させている。

　IT企業は、ディープラーニング用のプラットフォームを提供したり、独自に研究を実施したりしている。米グーグルは、公道での実証実験に加え、仮想空間上での走行で安全性を確かめている。

　自動運転の定義は、まだ国際的に標準化されていない。日本では現在、ドライバーの関与状況などによって6段階でレベルを分けるSAE（Society of Automotive Engineers）の定義を使っている。

　日本政府は、東京五輪・パラリンピックが開催される20年までに、限定地域での無人自動走行移動サービスなどの実現を目指している。

5G

　英語の「5th Generation」の略。次世代の通信方式として研究開発が進められている「第5世代移動通信システム」を指す。東京五輪・パラリンピックが開催される2020年の実用化に向け、通信事業者を中心に各企業が研究開発に取り組んでいる。

　5Gの研究は、12年頃から世界中で活発になったといわれている。大容量コンテンツの流通や、インターネットにつながるモノの増加に伴い、通信トラヒック量が爆発的に増え続けるといわれていることが背景にある。

　5Gは、30年前に比べて約1万倍の最高10Gbps高速通信を可能にする。低遅延のほか、接続できる端末数が大幅に増えるのも特徴だ。　そのため、IoT（モノのインターネット）や自動運転の進歩にとっても、欠かせない基盤技術と位置づけられている。

　国内では、5Gの技術展開や国際標準化を目的に、大学や通信事業者などでつくる「第5世代モバイル推進フォーラム」が14年に設立された。総務省は17年5月、新たな市場の創出に向けた実証実験の概要を発表した。

　ただ、NTTドコモとKDDI、ソフトバンクは、5Gに関する研究開発を急激に加速しており、場合によっては実用化の時期が20年より前になる可能性がある。

　米国や欧州、中国、韓国でも、5Gの実用化は重要視されている。5Gの主導権獲得を目指した各国の競争は、激化の一途をたどっているといえる。