SIMカード

　スマートフォンなどの端末で通信する際に必要なICチップで、「シムカード」と読む。ID番号や電話番号などの契約情報が記録されており、ユーザーの識別に使われている。

　SIMは、日本語で「加入者識別モジュール」を示す「Subscriber Identity Module」の頭文字。独自の通信規格が普及していたかつての日本では、端末に直接、電話番号などが書き込まれていたため、SIMカードは使われていなかった。

　状況が変わったのは、2000年に入ってから。新しい通信規格が誕生し、SIMカードと同じような働きをする「UIMカード」や「USIMカード」と呼ばれるチップが登場。SIMカードが認知されるようになった。

　SIMカードには、「標準SIM」と「micro SIM」「nano SIM」の3種類がある。「標準SIM」は、従来型携帯電話や初期のスマートフォンで使われていた。現在は「micro SIM」と「nano SIM」が広く普及している。

　各SIMカードの大きさは、規格で決まっており、年々、小型化されている。最近では、IoT向けのSIMカードが登場。SIMカードの機能をソフトウェアで実現する次世代のSIMも注目されている。

　従来の端末は、使えるSIMカードを固定する「SIMロック」がかかっていたが、現在は多くの端末でロックが解除できるようになった。

　ユーザーにとっては、通信事業者の選択肢が拡大。SIMカードを差し替えることで、格安の通信サービスを利用したり、海外に行った際に現地のSIMカードを使ったりすることが可能になった。

白ロム

　契約情報が書き込まれていない携帯電話端末のこと。SIMカードを使わない従来型携帯電話が普及していた頃に用語として使われていた。

　従来型携帯電話は、端末の読み出し用半導体（ROM）に直接、電話番号などの契約情報が書き込まれていた。そのため、契約情報が書かれていない端末は、ROMが真っ白になっていることから、「白ロム」といわれるようになったという。

　ちなみに、契約情報が書き込まれた端末のことは「黒ロム」という。端末の分割払いが未納になっていたり、紛失が届けられていたりする端末は、通信規制でアンテナマークが赤くなるため、「赤ロム」と呼ぶ。

　白ロムの端末を調達するためには、いったん回線契約を解約し、端末から契約情報を消去することが必要だった。そのため、新規契約後に即解約し、新品に近い状態の端末を転売する動きもあった。

　白ロムの端末は、高額な端末購入代金を新品よりも安くできるのが最大の特徴。過去に発売された機種が使えることもメリットとして考えられている。

　最近は、格安通信サービスを提供する事業者が台頭。SIMカードを差し替えるだけでサービスの乗り換えが可能になったため、積極的に中古の端末を選ぶユーザーもいる。

　スマートフォンなどの場合、端末ではなく、SIMカードに契約情報を書き込む。かつての白ロムの概念とは異なることから、「厳密には誤り」という意見があるが、SIMカードが入っていない中古の端末を白ロムと紹介する店舗もある。