IT業界が振り返るべき平成の30年と、幕を開けた「令和時代」への期待

三文字頭字語は平成ITの象徴となる

2019/05/10 12:42

 IT用語は基本的に英語であり、国内でもそのまま使用する。そして、IT業界に限ったことではないが、IT用語の多くは頭字語(略語)を用い、特に三文字頭字語(三文字略語)が多い。三文字頭字語は便利だが、そもそもIT用語は多くの人にとって難解なものが多いため、三文字に略されると、難易度がさらに増してしまう。一時は三文字頭字語を使うことがユーザーに嫌われがちだった。逆に、三文字頭字語を使うと、ITを理解した気にもさせてくれる。

 IT用語で三文字頭字語が増え始めたのは、会計ソフトなどの単一目的のソフトウェアから、企業のビジネスを支える【ソリューション】という概念が浸透し始めた平成時代前半。筆頭は【ERP(Enterprise Resources Planning)】。経営資源を統合管理するというコンセプトから、日本語では【システム】と呼ばれていたが、ERPシステムの翻訳として使うと「ERP(統合基幹業務)システム」となってしまい、違和感を抱いた関係者が多かった。

 以降、顧客を管理する【CRM(Customer Relationship Management)】、製品の材料超脱から販売までを管理する【SCM(Supply Chain Management)】、営業活動を支援する【SFA(Sales Force Automation)】など、三文字頭字語ソリューションが次々と登場した。

 しかし、インターネットの普及とともに登場した【ASP(Application Service Provider)】が、【クラウドサービス】や【SaaS(Software as a Service)】へと変わっていく頃には、めぼしい三文字頭字語ソリューションといえば、【IoT(Internet of Things)】くらいか。平成時代後半に登場した【DX(Digital Transformation)】は、二文字頭字語である。

 ちなみに、平成時代前半には若い女性の間で【MK5(マジでキレる5秒前)】が流行った。今は亡き【ポケベル(ポケットベル)】から生まれた三文字頭字語かもしれない。
(畔上文昭)
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