動画やデジタル写真が手軽に扱えるようになると、地球上に大量のデータが生成されるようになる。平成時代中盤の【ビッグデータ】ブームである。ストレージベンダーは、ビッグデータをキーワードに自社製品を盛んにアピールした。とはいえ、多くの企業では大量の動画やデジタル写真を扱うことは少なく、ビッグデータブームはピンとこなかった。業務システムで扱うデータは伝統的に【RDB(リレーショナルデータベース)】に格納されており、データ量に関してはたいていが想定の範囲内に収まるためだ。

 ビッグデータの活用では当初、分散処理技術の「Hadoop」が注目された。ただ、どのようなデータをHadoopで扱うかが、大きな課題。「何でもいいから、企業で扱うデータをとにかく集める」は、ビッグデータ活用の本質とさえ言われることがあった。要は、ビッグデータを保有している企業が少なく、保有していても有効に扱える企業が少ないという状況だったのである。

 ビッグデータにより、2000年前後に流行した【BI(Business Intelligence)】ツールが再登場することになる。ビッグデータ活用の切り札との期待もあった。ただ、BIが従来の活用範囲を大きく超えることはなく、ビッグデータとの関係は薄くなっていく。

 そうした中で登場したのが、【IoT(Internet of Things)】。センサーの低価格化や通信手段の多様化により、工場などに限定されがちだったIoT関連ソリューションがさまざまなビジネスシーンで活用されるようになる。また、スマートフォンの普及が、IoTの活用範囲の拡大に貢献した。これらにより、企業は多様かつ大量のデータを手軽に入手できるようになる。IoTが、多くの企業にビッグデータをもたらしたというわけだ。

 一方、IoTでビッグデータを入手しやすくなったとはいえ、まだどう活用するかという課題が残っていた。そこに登場したのが、第3次の【AI(人工知能)】ブーム。AIは、学習に当たり大量のデータを必要とする。そのため、ビッグデータが企業にとって価値のあるモノになったのである。

 ビッグデータ、IoT、AIの三つがつながり、企業にとって重要なソリューションとなることが見えてきた平成時代。とはいえ、まだ道半ば。令和時代は、これらが企業にとって、より価値のあるモノへと進化すると期待される。(畔上文昭)