XDRとは
　Extended Detection and Responseの略。エンドポイント、ネットワーク、メール、クラウドなどに設置したセキュリティ製品の情報を統合・分析、脅威をいち早く検知して対応までを行うセキュリティ対策の概念。


　英Sophos（ソフォス）は、「Sophos XDR」を提供している。同社の顧客層は、中小企業が中心であることから、運用を支援するMDR（Managed Detection and Response）サービスの提供などを通じて中小企業が利用しやすい環境を整えている。主力のエンドポイントセキュリティー製品やファイアウォールなどによる防御、XDRによる検知・対応により、トータルで中小企業の対策強化を目指す。
   

連携製品の拡充を進める

　同社は、エンドポイント、ネットワーク、クラウド環境向けなど幅広いセキュリティー製品を展開している。Sophos XDRは、これらの自社製品に加えて、サードパーティー製品の情報を統合することが可能だ。特に米Microsoft（マイクロソフト）との連携を強みとしており、「Microsoft 365」の機能として提供される「Defender」のアクティビティログを取り込めるのが特徴という。ユーザーがXDRを選定する際、連携製品を重視することが多いため、今後も拡充を進めていく。ソフォス日本法人のセールスエンジニアリング本部の野口みどり・セールスエンジニアは「本社とのミーティングで、国内で利用の多い製品との連携を提案する機会も多く、その要望に応えてくれる体制ができている」と語る。
 
　各製品から得られたログデータは「Sophos XDR データレイク」に収集し、脅威インテリジェンスを活用して自動で相関分析を行う。相関分析することで、従来の対策では見つけられなかった脅威が発見できるという。野口セールスエンジニアは「当社には、これまで培った豊富な知見がある。加えて、グローバルに支社を設立しており、そこから得られる情報を活用することで、新しい脅威にも迅速に対応できる」と自信を見せる。

　一般的にXDRで他社製品を連携させる際、検知ルールの設定をユーザーが行うことがあるが、Sophos XDR データレイクでは、連携製品に対する検知ルールがあらかじめ設定されており、容易にXDRによるセキュリティー対策を実装できるようになっている。

課金体系で差別化

　多くの中小企業はセキュリティー専任者がいないため、検知・対応ツールを導入しても運用が課題となる。また、ソフォスが実施した調査によると、ランサムウェア攻撃は金曜日の夜から土日にかけて行われることが多く、攻撃時間も短くなっている。こうした状況に対応するため、同社では24時間365日対応するMDRサービスを用意している。英語での対応になるが、管理コンソールに翻訳機能を搭載しており、英語に不安のあるユーザーでも分かりやすく理解できるとアピールする。MDRサービスでは、ユーザーに代わって積極的に対応する「承認モード」も特徴だとしており、脅威を検知した際にユーザーに通知するのではなく、同社のアナリストが調査から対処まで実施する。国内では、MDRサービスの利用まで含めて検討するユーザーが多いという。

　XDR製品の場合、データ量に基づいた従量課金型が主流だが、データ量が増加した結果、想定以上にコストがかかってしまうケースがある。Sophos XDRは、ユーザー数に応じた課金体系を採用することで、従量課金型に比べ安価で利用できる。1ライセンスから対応することで、スモールスタートしたいという要望にも応えられる。野口セールスエンジニアは「パートナーは（データの）容量を算出することなく見積もりができるため、“担ぎやすい”製品だ」と述べる。

「防げる攻撃は事前に防ぐ」

　野口セールスエンジニアは、侵入を前提としたセキュリティー対策は重要だとする一方で、「当社は、防げる攻撃は事前に防ぐという考え方を重視している」として、まずは、防御を強化する大切さを強調する。検知・対応ツールを導入する前に、同社の幅広い製品を用いて強固な防御体制を構築することで、アラートの数が減少し、運用負荷の軽減などにつながるとみる。

　パートナーに対しては、専任の営業担当者とエンジニアチームを通じた支援を実施。ウェビナーを通じて、サイバー攻撃の動向や、ユーザーがどういった面でセキュリティーに課題を抱えているのかなどの調査データを提供するといった取り組みも行っている。