私は2月末に日本行政書士会連合会と東京都行政書士会で講演をした。2019年、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と日本行政書士会連合会は、山口大学とともに著作権の普及啓発を進める協定を結んでいる。
行政書士は、「街の法律家」として市民社会の困りごとに常に接しており、AIを駆使すれば、弁護士に負けない法律サービスを提供できる。全国7万2000人のメンバーを擁し、AI時代はある意味「身体性の時代」なので、事実行為を土台とした法律サービスは最も期待される士業だと訴えた。
三者協定のもう一方、山口大学で私は14年から講義を受け持っている。山口大学大学研究推進機構知的財産センターは、文部科学省から「教職員の組織的な研修等の共同利用拠点(知的財産教育)」に唯一認定されており、山口大学で開発された教材は全国の大学に提供されている。既に岡山大学、愛媛大学など七つの地方国立大学と、玉川大学、金城学院大学の私立大学で利用されており、知的財産権を理解した学生を多数社会に送り出している。
言うまでもなく生成AIの時代には、著作権をはじめとした知的財産権を正しく理解していることが、ビジネスを進める上でとても重要だ。
山口大学の授業は、オンラインで履修することもできる。企業でも、体系的に知的財産を学びたい場合には利用できるし、山口大学の知的財産センターの取り組みは既に14年を超えた。著作権・特許など知財センスを習得した学生を求める企業はぜひ注目してほしい。
一方、ACCSは著作権に関して、権利者団体とユーザー団体の両面がある。プログラムの著作権者ではあるが、ゲームソフトでは音楽やキャラクターを利用するので、ユーザーとしての側面もある。だから、常にACCSは権利を主張するだけでなく、利用とのバランスを意識してきた。
同様に、生成AIを提供する企業はプログラムの著作者だが、多くの会員企業はユーザーとして利用する。生成AIが利用される時代になって、ACCSのこの二面性が、他の著作権者団体から注目されている。
行政書士の業務同様、生成AIを使いこなすことで、活躍の場は広がる。著作権の観点からは、生成AIの負の側面が協調されるが、ACCSにとっては、むしろ追い風だと考えている。
一般社団法人 コンピュータソフトウェア著作権協会 専務理事 久保田 裕

久保田 裕(くぼた ゆたか)
1956年生まれ。山口大学特命教授。公益社団法人著作権情報センター理事、公益社団法人日本文藝家協会知的財産権委員会委員、特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会理事、(株)サーティファイ著作権検定委員会委員長、特定非営利活動法人ブロードバンドスクール協会情報モラル担当理事などを務める。主な著書に「情報モラル宣言」(ダイヤモンド社)、「人生を棒に振るスマホ・ネットトラブル」(共著、双葉社)がある。