セールスフォース・ジャパンは、AIエージェントプラットフォーム「Agentforce」の活用推進を図るため、パートナーとの連携を強化している。刷新したマーケットプレイスによりISVビジネスの成長を図るほか、新たな協働モデル「Forward Deployed Engineering(FDE)Partner Network」の取り組みを通じて、Agentforceの導入や定着、改善などを一貫して伴走支援する体制を築く。(大向琴音)
マーケットプレイスを一本化
米Salesforce(セールスフォース)は、「Salesforce」向けの「AppExchange」、Slack向けの「Slack Marketplace」、Agentforce向けの「AgentExchange」と複数のマーケットプレイスを展開してきたが、日本では6月8日にこれらを「AgentExchange」に集約し、一本化した。
これまでそれぞれのマーケットプレイスを通じて販路拡大を図ってきたISVパートナーは、SalesforceやSlack、Agentforceを横断し、単一の窓口から提供できるソリューションの幅が広がる。国内では2027年1月末までに、AgentExchange上に40のソリューションが公開されるのを目標とする。
AIエージェント以外のソリューションも増えると見込んでおり、具体的には業界特化型アプリケーションなどを想定する。特徴的なのが、既存の顧客企業がパートナーとしてソリューションの提供を始めるケースが増えつつあることだ。
例えば、葬祭業を手がける企業では、顧客管理にSalesforceを活用し、その知見を基に葬儀業界向けのクラウド型顧客管理システムとしてアプリケーション化して提供している事例がある。専務執行役員の浦野敦資・アライアンス事業統括本部事業統括本部長は、AgentExchangeは、ユーザー発のソリューションを広く展開する手段として有効な選択肢の一つとなるとの見解を示す。
こうした取り組みは、同業種間でSalesforceの活用ノウハウが共有されるといった効果が見込めるほか、従来のリセラーなどが持つ販売網とは別の領域をカバーできるようになることで、顧客層の拡大にもつながるとする。
浦野敦資・専務執行役員
FDEがAgentforce活用促進のかぎ
FDE Partner Networkの開始も大きなトピックの一つだ。FDE Partner Networkは、Salesforceについて熟知しているのに加え、一定の資格を取得している従業員数などの条件を満たしたパートナーを対象に、エンジニアリング手法やプロダクト知見を共有し、パートナーの専門エンジニアが顧客企業のプロジェクトに深く入り込む協働モデル。国内では、アイルランドAccenture(アクセンチュア)日本法人やNTTデータ、富士通、テラスカイなど9社が初期パートナーとなっている。
浦野専務執行役員は、従来のSIプロジェクトとは異なり、「Agentforceのアプリケーションでは設計段階のスピードが求められるほか、アプリケーションを作った後が重要」と指摘する。AIエージェントは一度構築して終わりではなく、運用しながら改善を重ねる必要があるため、Agentforceの導入から定着化、ビジネスでの成果創出まで伴走できるFDEの存在が不可欠になるという。
社内で得た知見をパートナーに展開
セールスフォース・ジャパン自身もFDE育成に注力しており、得たノウハウをトレーニングなどを通じてパートナーに展開していく。27年度中に、FDEのトレーニングをコンサルティングパートナーの中から115社に提供することを目指す。FDE向けのトレーニングを通じて得た有益なコンテンツなどは、FDE Partner Network以外のより広範囲のパートナーに対して展開することも見据える。
浦野専務執行役員は、「(AIエージェントと人間の)両方をうまく使って企業運営できる会社を表す“Agentic Enterprise”を実現するには、salesforceのアプリケーションやプロフェッショナルサービスだけでは足りない。パートナーの協業ネットワークが必須であるからこそ、一緒に歩んでいただけるパートナーに積極的に投資をしたい」と意気込む。