ビジネスチャット「LINE WORKS」を中核に、AIサービスやフロントラインワーカー向けのプロダクトを展開するLINE WORKS。開発者向けプラットフォームの提供や、エコシステム構築といった取り組みを進めている。パートナーの提案領域の拡大を図り、顧客獲得を目指す。(大向琴音)
自律的なエコシステム構築目指す
同社は、設立当初からパートナービジネスを前提に事業を展開してきた。最初に立ち上げたのが「セールス&サポートパートナー」で、製品の販売とサポートを行う。導入支援や連携開発を担うのが「サービスパートナー」だ。約30社が参画しており、ライセンス販売権は持たないものの、導入支援やAPI連携、トレーニングなど、顧客から寄せられる相談に対応している。
加えて、SB C&S、ダイワボウ情報システムの2社とディストリビューター契約を結んでおり、両社のチャネルを生かして全国への販売を進めている。今後もディストリビューターの拡充を予定する。
年に一度、パートナーカンファレンスを開催している。2025年は、サービスパートナーの展示ブースを設け、各社が展開しているLINE WORKSとの連携サービスを体験できる機会をつくった。参加したパートナーからは好評を得ており、こうした取り組みを通じてサービスパートナーとセールス&サポートパートナーのエコシステム構築を目指す。
セールス&サポートパートナーから同社の営業担当に対して相談が来た際に、適したサービスパートナーを紹介するなど、パートナー同士の関係構築を仲介する場合がある。一方で、パートナー事業本部パートナービジネス開発部の荒井琢・部長は「最近は当社が介在せずにパートナー同士が直接やり取りしているケースもある。これが理想形だ」と述べる。
立木宏和・本部長(右)と荒井琢・部長
WOFFで独自の提案につなげる
パートナー独自の業務提案を支える仕組みとして、用意するのが「WORKS Front-end Framework(WOFF)」だ。WOFFは、LINE WORKS上で動くWebアプリケーションを実装できる開発プラットフォームで、トークルームから開発したアプリを呼び出せるようになる。チャットボット機能と異なり、Webベースに自由なレイアウトで情報を表示できるのが特徴で、LINE WORKSならではのUI、UXを生かしつつ、パートナー独自の提案がしやすくなる。パートナー営業本部の立木宏和・本部長は「ビジネスチャットはレッドオーシャンで、機能面で差別化できる部分はそれほど多くない。その中で、WOFFはパートナーがLINE WORKSを選ぶ理由の一つになる」と分析する。
AIプロダクトで新規パートナー獲得へ
LINE WORKS以外にも、AIサービスやフロントラインワーカー向けのプロダクト群を展開する。その中でも、AI議事録作成ツールの「LINE WORKS AiNote」と高精度AI-OCRを活用した文書処理自動化ソリューションの「LINE WORKS PaperOn」の間接販売を強化している。業務効率化といった分かりやすい価値を提示でき、業種を問わず幅広い顧客にとって役に立つツールであることから、新たなパートナーの獲得につながるとみる。
PaperOnについては、SI事業を手掛けるパートナーの獲得につなげたい考えだ。PaperOnを導入し、既存の業務システムと連携させる場合、開発を自前で行って思い通りの運用に落とし込むのが難しい企業は少なくない。このような企業にとっては、SIのノウハウを持つパートナーの存在が不可欠となる。加えて、業務システムとの連携をできるようにすることで、パートナーが日常的に取り扱っている商材と組み合わせて提案が行えるようにする。現在、業務システムと連携するためのコネクターなどの提供に向けた準備を進めているという。
全国への拡販を目指し、地方パートナーのリクルーティングにも注力する。AIサービスを拡充したことによりこれまでとは違う切り口で価値を訴求できるようになり、接点の数が増えている。立木本部長は、「PCの入れ替えなどと比較すると単価は安いが、われわれが目指す現場の人々のデジタル化やAI活用(の姿)を伝え、パートナーに賛同いただいて、プロダクトを届けていきたい」と力を込める。