日本市場でパートナービジネスを成功させるには、製品やコンテンツのローカライズが重要な要素となる。米A10 Networks(A10ネットワークス)日本法人は、日本語のパートナー向け専用サイトやナレッジデータベースなどを用意し、日本市場に必要とされる支援策を充実させてパートナーがビジネスを推進しやすい体制を整えている。新製品のAIファイアウォ-ルの発売を控え、さらなる成長を目指す中、パートナーとの連携をより深め市場での存在感を示していく。(岩田晃久)
強固な販路を構築
A10 Networks日本法人は、強固な販路を構築することで顧客獲得を進めている。最上位の「プラチナ・パートナー」には、伊藤忠テクノソリューションズやNEC、富士通ネットワークソリューションズ、三井情報が、「プラチナ・インダイレクト・ディストリビューター」には、ネットワンパートナーズ/SCSK(両社の合併に伴い現在はネットワンパートナーズが役割を担う)が認定されている。そのほかにも大手SIerなど多くのパートナーが存在する。
ディストリビューターのネットワンパートナーズは、A10ネットワークス製品に特化した専門組織を設けており、リセラーに対してのトレーニングや販売支援を提供する。A10ネットワークス営業本部1パートナー・ビジネス部の平松慎司・部長は「幅広くパートナーをケアできる体制になっている」と自信を見せる。
国内独自のパートナー支援施策として、営業や構築に関するノウハウをまとめたナレッジデータベースを公開している。平松部長は「パートナービジネスを強化していく上で、パートナーが当社を介さず提案から構築までできるようにするのを目標としている。構築の際に苦労する部分などはパートナー間で共通している。そうした面を解決するのにナレッジデータベースは重宝されており、パートナーによる利用が増えている」と述べる。
そのほかにも、全て日本語化したパートナー専用サイトを用意するなど、ローカライズを強化することでパートナーがビジネスを推進しやすい体制を整えている。「競合と差別化を図っていくには、ローカライズや支援体制が重要になり、パートナーにとっても有益になる」(平松部長)とする。
平松慎司部長
自治体への導入に向け“ローカルキング”との関係強化
近年は地方自治体において、インターネットアクセスの一部を、データセンターなどを経由せずに各拠点から直接行うローカルブレイクアウトを実装するケースが増加している。A10ネットワークスでは、アプリケーション配信コントローラー、ファイアウォール、クラウドプロキシーなどの機能を備える「A10 Thunder CFW」によりローカルブレイクアウトを実現し、規模を問わずさまざまな自治体で導入されている。
自治体への提案においては、いわゆる“ローカルキング”とされる地場の有力パートナーへの支援が重要となる。地場のパートナーにおいては、初めてローカルブレイクアウトを構築するケースも少なくない。その際に、全国展開しているA10ネットワークスのパートナーが、地場のパートナーに対してハンズオンでのトレーニングや、一緒にPoC(概念実証)を行うといった支援を実施。また、地場のパートナー向けの導入支援サービスを提供する上位パートナーもいるという。
A10ネットワークスでも、地場のパートナーが集まる勉強会などのイベントに積極的に参加するなどして関係強化を図っている。
パートナーとの連携でAIファイアウォールをソリューション提供へ
企業のAI活用が進む中、今後はAIセキュリティー製品への需要が拡大していくとみられる。A10ネットワークスでは、6月中にプロンプトインジェクション攻撃や情報漏えいを防止する機能などを搭載する「A10 AI Firewall」を発売する予定だ。開発の際には、日本のパートナーの意見も参考にするなど、日本語への対応を強化しているのが特徴の一つだとする。
既に、NECやSCSKといったパートナーでは、事前検証を行っているという。平松部長は「先行してAIファイアウォール市場をつくっていくための協業が進んでいる」と手応えを語る。
A10 AI Firewallの販売について平松部長は「当社は、パートナーが売りたい製品と当社の製品を組み合わせてソリューションとして展開してもらうことを戦略としている。A10 AI Firewallにおいても、そういった販売手法になっていくだろう」と分析する。パートナーが持つLLM(大規模言語モデル)と組み合わせたり、RAG(検索拡張生成)に組み込むといった売り方が想定される。
パートナービジネスの成長に向けて平松部長は「継続的にビジネスを拡大できるパートナーと、長く関係を維持するのが一番の戦略だと考えている。そのため、新規パートナーの開拓にも取り組むが、既存のパートナーとの関係をより強化することを重視していきたい」と展望する。