福島県情報産業協会(FIIA)は、県内のICT産業の振興を目的に活動する業界団体だ。会員企業向けのセミナーに加え、子ども向けのロボット講座や、大学との交流事業などを通じて幅広い世代の人材育成に取り組んでいる。鷺弘樹会長に取り組みや今後の方向性を聞いた。(大向琴音)
設立25周年を迎える
――FIIAの概要をお願いします。
2001年12月に設立され、今年で設立25周年を迎えます。福島県情報サービス産業協会と福島県ソフトウェア協会の二つの団体を統合するかたちで発足しました。26年5月現在で43の会員がおり、県内に本社を置く正会員が28社、協会の目的に賛同して入会した賛助会員が8社、大学や専門学校など県内の教育団体である特別会員が7団体となっています。
福島県内における情報関連技術の利用促進や水準向上、普及、啓発さらには人材育成、を通じて地域社会の高度情報化を促進し、福島県内の経済や社会の発展に寄与することを、活動の目的としています。
――どのような活動に取り組んでいますか。
会員企業向けには、毎年ITセミナーを開催しています。近年は、生成AIやサイバーセキュリティーをテーマに取り上げており、講師として大学の教授を招くこともあります。会員企業の社員に向けた教育や人材育成の一環として継続している取り組みです。
子ども向けには、ドローン教室やロボット講座を実施しています。最近では須賀川市の小学校で、ドローンの操縦やプログラミングを体験できる教室を開きました。また、センサーを積み込んだレゴブロックを活用し、自動運転の仕組みを学ぶ講座なども実施しています。
こうした活動は、将来的に会員企業の人材確保につなげたい意図もありますが、それ以上にICTや理系分野に興味を持つ人の母数を増やしたいという考えがあります。
鷺弘樹会長
大学との連携拡大を推進
――大学との連携にも取り組まれています。
会津大学と連携し、キャリアデザインの講義を行っています。講義を通じ、学生との交流や意見交換を図っています。また、福島大学との連携を通じ、ワールドカフェ形式で学生との交流会を開いています。ワールドカフェ形式とは、軽食を囲みながらテーマに沿ってディスカッションすることで、学生と会員企業側が双方向で話せる場になっています。企業側からは、大学のOB・OGで入社2、3年目などの若手社員が参加しており、学生にとっての話しやすさにつなげています。今後はこうした取り組みを他の大学にも広げていきたいです。
――人材育成に力を入れる背景には何があるのでしょうか。
日本全体でDXが進められていることは大歓迎ですが、一方で地方と首都圏の間で格差が生まれるのを危惧しています。そこで重要になるのがICT教育ですが、地方では少子化に加え、教育現場の負担も大きくなっています。その中で、学校だけにICT教育を任せるのではなく、われわれも積極的に協力していく必要があると思っています。
また、福島県の人材育成課から、首都圏の企業を顧客とする県内の製造業のDXに力を貸してほしいという声もいただいています。これは、福島県の将来のために、ものづくり企業のIT化やDXを地元のIT企業の力を借りながら進められないかという問いかけですので、当協会としては可能な限り期待に応えていきたいです。
ICTの力で地方を元気に
――今後の展望を教えてください。
福島県は、福島市、郡山市、いわき市、会津若松市といったように、複数の地域に分散して街が存在する県です。そのため、会員企業も各地域に根差して活動しています。それぞれの地域には特色ある産業がありますので、地元IT企業が地元産業に寄り添いながら支援することで、地域の発展にもつながるのではないでしょうか。
人材流出という課題はありますが、その一方で福島県は首都圏に近いという利点があります。県内の製造業には、首都圏の企業を顧客とする中小企業が多く存在しますし、福島県はそういった企業のDXにまさに尽力しようとしています。地方課題解決のモデルとなるような県を目指し、われわれの業界からICTの力で地方を元気にするお手伝いができればと考えています。
<紹介>
【福島県情報産業協会】
2001年に設立。福島県内における情報関連技術の利用促進・水準向上、普及、啓発並びに人材の育成を通じて、地域社会のIT社会促進を図り、福島県における経済及び社会の発展に寄与することを活動目的とする。会員は合計43社(2026年5月現在)。