ITビジネス情報誌
最新号 2026年11月02日付 vol.2126
SPECIAL FEATURE
[特集]企業の未来を左右するAIへのセキュリティー 変革を止...
第1回は、IT業界で長らく続いてきた「人月ビジネス」と生成AIの関係に焦点を当てる。多くのSE・プログラマーを動員して行う開発工程が自動化されれば、人員数と稼働時間に応じて対価を得る受託開発ビジネスは、収益構造の見直しを迫られる。SIer各社は上流工程に軸足を移し収益を確保しようとしているが、組織改革や人材育成、収益モデルの確立は容易ではない。“脱人月”に向けたビジネスモデルの転換に立ちはだかる壁と、それを乗り越え収益力を高めようとする主要SIerの取り組みをレポートする。
生成AIはシステム開発を担えるか──。こうした問いはもはや過去のものとなった。AIの自律性は日を追うごとに高まり、その役割はコードの補完にとどまらず、要件整理や設計、実装、テスト、保守を含む開発ライフサイクル全体へと広がっている。他方、超高速で生み出される成果物の正確性や品質を、誰がどのように確かめるのか。作業を担うだけでなく、真に信頼できる存在となるまでに、越えるべき壁は依然として高い。生成AIによるシステム開発の変遷とツールの機能、ツールベンダーらの取り組みを通じて、壁を越える道筋を考える。
AI技術の普及がますます進み、多くの企業ではAIを競争力の源泉と位置付けて活用を進めている。その半面で、AIエージェントがアタックサーフェスとなり、重大なセキュリティー事故を引き起こす懸念はぬぐえない。AI活用の推進とセキュリティー体制の構築は、今や企業の未来を決める最優先の経営課題と言っても過言ではない。AI実装を支援するSIer には、不可逆的に進む「AIによる企業変革(AX)」のアクセルを踏み続けられるよう にする手段が求められており、新たな商機として立ち上がりつつある。
日本のIT産業は、大きな転換点を迎えている。人口減少やインフレ、AIの台頭などを背景に、約30年間にわたって成り立ってきたIT産業のビジネスモデルが変わりつつある。6月に就任した日本IT団体連盟の田中邦裕会長は、企業が長く価値を生む「アセット」を積み上げ、AIをビジネスの中枢に据えることが重要になると指摘。経済のブロック化を国産化の商機と捉えるとともに、IT業界の声を束ねて政策提言につなげていく考えだ。
人月型の受託開発ビジネスがAIの登場で大きく様変わりする中、情報サービス産業協会(JISA)の福永哲弥会長は、「他社にはない尖った技術オファリング」こそが価値の源泉になると話す。大規模プロジェクトを滞りなく進められるプロジェクトマネージャーや、高度なサイバーセキュリティーの知見を持つ技術者は引く手あまたであり、それだけ大きな価値を生み出せる。JISAは、情報サービス業界で長らく続いてきた労働集約型のソフトウェア開発からの早期脱却を促し、高度で独自性に富んだ技術に立脚した価値創造型のビジネスモデルへの転換を後押ししていく。