新型コロナの影響で、多くの企業が否応なくテレワーク導入を迫られている。快適なテレワークの実現には、モダンPCの導入、セキュリティの担保など、リモートワークに対応したインフラ整備が不可欠。だが、中堅・中小企業が自前で取り組むには大きな負担であるため、SIerのサポートが重要な役割を果たす。テレワーク導入における課題と具体的なソリューションについて、日本マイクロソフトと同社のパートナーに聞いた。

モダンPC導入とインフラ整備を
両輪に取り組む

　4月7日の緊急事態宣言後、在宅テレワークを余儀なくされたことでPCの需要が急増した。中でも、SSDなど起動が速く、軽く、生体認証といった最新機能を備えた「モダンPC」が強い支持を集めている。

　「実際、前年比で2.4倍と、昨年の増税やWindows 7 EOSに匹敵するほどの伸びで、ノンモダンPC（同1.5倍）
を大きく凌いでいる。テレビ会議環境にベストな処理能力や機能を持つモダンPCは、テレワークでの生産性向上に大きく貢献することが支持されている理由だ」と日本マイクロソフトの梅田成二・執行役員コンシューマー＆デバイス事業本部デバイスパートナー営業統括本部長は語る。
 
　企業のテレワーク導入状況は、2017年の13.9％から18年は19.1％に増加した。しかし、中堅・中小企業にとって、テレワーク実現に向けた課題は少なくない。モダンPCの導入といったクライアントのみの整備で解決できるわけではないからだ。

　「例えば、当社のTeamsのようなコミュニケーションツールを含む総合的な投資が必要で、どれが欠けても完ぺきとはいえない」と梅田執行役員。なお、Teamsの利用は19年12月の2000万人から20年3月に4400万人、5月に7500万人と急増。Teamsミーティングのビデオ通話総数も、3月は1000％以上増えた。

　また、SIerが中堅・中小企業に向けたテレワーク導入を提案していく上で、追い風となるのが政府関係や自治体によるテレワーク補助金だ。最大450万円の経済産業省の「IT導入補助金」をはじめ、厚労省の働き方改革推進助成金、東京都独自のものもある。

　梅田執行役員は、「テレワークの導入企業は、中堅・中小企業で15％程度に過ぎず、残り85％が未開拓の市場。SIerの方々には、さまざまな助成金を活用できるこの機会を活用して当社とともに積極的に提案し、ビジネスを拡大してほしい」とアピールしている。

パートナーによる
テレワーク支援ソリューション

　マイクロソフトのパートナー各社でも、テレワーク環境構築支援のためのパッケージプログラム、ソリューション提案を行っている。今回は2社の例を紹介する。

テレワークを安全・快適にする
NECの「NeoFace Monitor」

　NECが提供しているPC向け顔認証ソリューション「NeoFace Monitor」は、ユーザーの顔を認識して、端末のログオンおよびロックの解除や、端末利用中の本人確認を常時行うため、なりすましによる不正利用を防止することができる。

　「外出先でマスク着用により顔の一部が隠れた状態でも、認証が可能だ」とNECの大林永利・プラットフォームソリューション事業部主任は説明する。
 
NEC
NeoFace Monitor
https://jpn.nec.com/products/bizpc/promotion/nfm/neoface_monitor.html
NECテレワークソリューション
https://jpn.nec.com/solution/workstyle/digital_wp/index.html

デルが社内実践した
テレワーク環境整備の7ステップ

　デルでは、自社で実践したテレワークへの取り組みをベースにテレワーク環境を整備するための7ステップを紹介している。テレワークで最低限必要な7つの要素を製品・サービスだけでなく運用による工夫など企業の実態に沿ってパッケージで提供する。

　デルの広域営業統括本部の木村佳博氏は、「テレワーク移行時は、ヘルプデスクへの問い合わせも急増する。デルは、中堅企業向けに他社のPCやソフトウェアなど含めたヘルプデスクの1次受けをする『PCマルチベンダサポートプログラム』を2021年3月31日まで無償で提供し、テレワークに取り組む企業をしっかり支援していく」と語る。
 
Dell
バーチャルオープンオフィス
https://www.delltechnologies.com/ja-jp/events/webinar/vopenoffice.htm
中堅企業向けキャンペーン
https://www.delltechnologies.com/ja-jp/midmarket-solutions/client.htm