Letters from the World

陽明山麓でビデオ会議

2002/09/09 15:37

週刊BCN 2002年09月09日vol.956掲載

 8月、台北北部の陽明山国家公園のすぐ麓の見晴らしのいい高台に弊社台北オフィスを移転した。米国人が別荘として使っていたため、敷地内にはプールもあり、庭ではバーベキューなどもできる。温泉へも歩いて5分である。一見辺鄙で不便のように見えるが、DHLや宅急便も来てくれるし、ピザの宅配もOKである。インターネットバンキングのお陰で銀行に行く必要もない。

 インターネットがあれば、基本的にはどこでもオフィスになりうるだろうとの楽観的な見通しでここを選んだこともある。ごみごみとした市街地と違い、きれいな空気と自然に囲まれており、大変にのびのびと仕事ができる。引っ越し前は不満そうだったスタッフ達も、勤務時間後に水泳を楽しむなど、まんざらではないようだ。

 引っ越しと同時に、会議室などにある主要なパソコンにはマイク、カメラ、スピーカをそなえた。中国のシンセンオフィスや、インドの関連会社とは、国際電話の変わりにボイスチャットとウェブカメラで会議をするようになった。もちろん、自分のデスクのパソコンもそれらに対応できる。便利すぎて、居留守ができなくなった。電話から電子メール主体になったときは、自分で時間をコントロールできると安心していたのが、過去の話になりつつある。

 常にボイスチャットで呼び出され、国際電話の料金を気にすることもなく、おしゃべりに近い打ち合わせがだらだらと続くことも多くなった。台湾と中国の間では、直接通信は建前上禁止されている。しかし、すでに直接バックボーン同士が接続されている。シンセンオフィスのADSL環境と台北オフィスのケーブルモデム環境の間で、ボイスチャットをしているが、その音質はきわめて良い。ますます、台湾中国間のビジネスは便利になるとともに、台湾の空洞化がさらに加速するとの懸念もある。(台北発)
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